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大物選手の結婚報道と二刀流 2

「話を要約すると、本来は絶対に両立しない分野を併せ持っていて、それがメジャーリーグという世界で一番ハイレベルな場所でも通用しているから凄いという話ですよね」


「平たく言うとそう言うことじゃな」


「本当に極論の話なんだけどさ……ピッチャーが完璧に抑えて得点取られなかったら野球って負けないんだよね」


ユウとマオの説明に納得した響子に対して、ユウは話をするか迷っていた部分も切り込む事にしたようだ。


「まぁ、得点が取られなければ負けることはないですよね」


「でさ、その状態でホームラン一本でも打てばチームの勝利って確実だよね?」


「え、ええ……一点も取られずに、こちらが一点取れば勝てると言う話ですよね」


「この選手はこれを1人でやれる可能性があるってことなんだよ。

野球は一人でやるもんじゃない、チームプレーだって良く言うけど、この選手はほぼ一人で野球が出来ちゃうかもしれないんだよね」


「実際、移籍する前のチームではそのような状況が多々あったであろう?

この選手が抑えて打って勝つみたいな」


「抑えが打たれて逆転負けとかもざらだったけどね。

この説明が如何に異常で価値があるかを理解出来る話なんじゃないかな?」


通常であればピッチャーが打てないからバッターが活躍し、ピッチャーが程よく打たれて守備が活躍してと全員で野球をするものである。


しかし、ピッチャーが三振に抑えてしまえば必要なポジションはせいぜいキャッチャーのみ。


そしてバッティングの方も周りが打ちあぐねている中で、彼がホームランを一本打って得点を入れる。


こんなシーンが多々あった為に、彼は一人で野球をやっているなどと揶揄される事も多く見られていた。


「えー、それはちょっと可哀想な話ですね。

今回移籍したチームってのは強いんですか?」


「うむ、優勝を渇望して引くて数多の中から選んだチームじゃからな。

今季の活躍に期待したいものじゃ」


「それはそうと……」


ユウがチラリとテレビを見ると、未だにテレビでは過熱した結婚報道を行なっていた。


「いつまでも続きそうだよね、これ」


「選手のプレーに邪魔にならなければいいのう」


「その内奥さんの素性も勝手に調べて、自分たちの憶測込みで記事にしたりするんですよきっと」


「本当に勘弁してほしいよね。

一般人にはしっかり配慮してほしいもんだよ」


こうして加熱する報道に一抹の不安を覚えつつ、3人での昼時は過ぎていくのであった。

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