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#恋愛作品の今昔物語 4

「ま、あっちも恋愛話ではあるけれど、とりあえず恋愛作品の話に戻ろうか」


「そうやね……ええっと、男物も女物もハーレム系が出てきたって所まではいったんやったかな?」


・そこらへんかな

・主人公×多数って多いよね


「そうそう。

それでそこから敗北ヒロインが明確にされなくなったっていう」


「ぶっちゃけ誰が勝つのか分からんくなってきたってところやな。

例えば少年誌No. 1の苺パンツの恋愛漫画があるんやけど、この作品は複数のヒロインがいながらもメインヒロインを明確に設定してたんよ。

黒髪ロングの大人しい真面目ちゃんっていう、誰が見てもこの子とくっつくんだろうなって」


・あれは衝撃だった

・予想してなかったわ


「世代じゃないから読んだことはないけど聞いたことはあるかな」


「ところが、選ばれたのは負けヒロインだと思っていた金髪ショートの女の子だったわけよ。

作中では二度付き合って二度別れているから、読者としては黒髪の子と付き合う布石だと思ってたんやけど」


「結局は一途だったってことなんだね」


・迷いと葛藤はあったけどな

・なんなら3人目から先の扱いは不遇だよね


「この頃から男物ではヒロインが明確に定まらない状態の漫画が流行って、それは今も続いてるってわけやな。

一方で少女漫画は多彩で今度は男女逆転劇のような作品が流行り始めるわけや。

男の子が乙女趣味でヒロインが武士道の塊みたいな性格とか、男の子が小さくてヒロインが大きいっていうノミの夫婦パターンやね」


「確かにその作品は見たことあるかな」


・あったあった

・乙女な男の子はあったなぁ


「この場合、設定で十分に話が広げられるから基本的にカップリングは動かへんね。

あんまり余計なチャチャ入れるやつも出てこへんわ」 


「そう言われると今の両片想い系に似てるかも」


・なるほど

・特殊な環境で軸は出来てるわけだ


「あっちも焦ったいって状況だけで話が作れるからやな。

そうして色々と変わり種が流行ったところで昔ながらの正統派な恋愛漫画が登場する。

これは社会現象になるくらい有名やったから知ってるやろ?」


「相手に届けたい話だよね」


・あれはマジで流行ったよな

・アオハルなんて社会現象の言葉だったな


「せやねん!

これは正に原点回帰という話やったね。

後はこの前後辺りぐらいから、既に付き合っている、もしくは第一話で付き合うところから始まる作品なんかも増えてきた気がするかな」


「なるほどなるほど。

何度も恋愛物を読んでる人には付き合う前の状態がチュートリアルくらい面倒になっちゃったのかもね」


「全てが終わった後の後日談が好きっていう層の需要だったり、付き合った後のお互いの動きだったりと、また違う層に向けた作品だったのは間違いないやろな」


・なるほどねぇ

・掘り起こすと深いな

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