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マオ、痴漢冤罪に遭遇する 4

見知らぬ街を散策していたマオ。


彼女はしばらく辺りをうろうろすると、徐にビルの傍にある裏路地へと歩を進めた。


しばらく歩いて行き止まりになったところで……


「よお、姉ちゃん。

こんな所で何してんだ?」


「暇してるんなら俺たちが付き合ってやるよ」


下卑た笑みを浮かべた4人の男達が裏路地の道を塞ぐように立っていた。


「やれやれ、やっとお出ましみたいじゃな。

お主達の後ろにもう1人いるであろう」


「あら、気付いていたのね。

それなのにこんな所に来てバカな女。

あんた達、こいつは好きにしていいわよ」


後ろから現れたのは、先ほど逃げ出した痴漢冤罪を仕掛けていた女性であった。


そんな彼女の言葉に男たちの笑みは更に悍ましさを増していく。


「へっへっへっ、こんないい女を好きに出来るんなら寧ろ金払いたいくらいのもんだぜ」


「それがお金もらって好きにしていいっていうから堪らねえよな」


そう言ってジリジリと近づいてくる男達。


そんな男達に対してゴミを見るような瞳を向けた。


「痴れ者が……」


吐き捨てるように言った後に、


『頭が高い!!』


と力を込めた言葉を叩きつけると、男達と後ろにいた女まで全員が頭が急に重くなり、そのまま前のめりに倒れる。


幸い、重いのは頭だけであったため、全員がその場で手を地面に突き出すことで頭と地面の激突は避けれたのであった。


「な……なによ、これ……ひっ!?」


目の前にある地面が影で染まったことにより、自分の前に誰が立っているのかを理解してしまった女性。


「さて、やった事には責任が付くのは承知しているであろう。

人にやった事は自分に返ってくるということものう」


マオは女性の後頭部を掴むと、そのままズルズルと路地裏の行き止まりの方へと引きずっていく。


端まで行った所で後頭部の手は離れ、そのまま地面に倒れ込んだ。


既に頭の重さは無くなっていたのだが、彼女は恐怖により一言も発することが出来なくなっていたのだ。


「さて、お主には妾がもしもか弱き存在だったらどのような目に遭っていたのか。

実際に体験してもらう事にするとしようかのう」


マオがそう言うと、男たちはゆっくりと立ち上がり、路地裏の行き止まりの方へと歩みを進めていった。


「い、いや……謝るから、ゆ、許して……」


「お主は無実の者を犯罪者へと仕立て上げて謝罪も金として受け取っておったのじゃろう?

ならば今更許しを請える立場ではなかろう」


マオはくるりと後ろ、出口の方へ向き直るとそのままスタスタと歩いていく。


「ああ、安心するが良い。

警察は呼んでやるから全員仲良く豚箱行きじゃな」


こうして女性の悲鳴を無視しながらマオは路地裏を脱し、その後は警察に通報したのであった。


後に駆けつけた警官によって男達は現行犯で捕まり、保護された女性も自らの罪を告白して逮捕されたのだと言う。


「と言うことがあってのう……全く災難じゃったわい」


家に帰ってきたマオはことの顛末をユウへと語ったのだった。


「マオがそんなに怒ってるの久しぶりに見たよ」


「犯罪をでっち上げた挙句に逆恨みで妾に害を為そうたのじゃ。

当然であろう?」


「そりゃ当然なんだけどね。

さ、今日はマオの好きなものにしたから機嫌を直してよ」


「おお……これはこれは。

後は美味い酒があるとありがたいのじゃが」


「分かってるよ、これでしょ?」


ユウが取り出したのは、ここぞと言うときに取っておいた、マオの前職と同じ名前の焼酎であった。


「おお、分かっておるではないか。

よいよい、すっかり良い気分になったわ」


こうして一日の疲れや不満をユウによって全て洗い流されたマオ。


彼女は今日会った出来事を全て忘れたかのように満足しながら眠りについたのであった。

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