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マオ、痴漢冤罪に遭遇する 2

マオと男性、そして喚いている女性は駅員に促されて電車から降り、ホームへとやってきた。


「それで、貴女は本当にこの男性に痴漢されたのですか?」


「ええ、それは間違いなく。

お尻を撫で回されて本当に怖かったんです」


「貴方の意見を聞かせてもらえませんか?」


駅員に対して媚びたようにアピールする女性だが、駅員は極めて冷静に男性へと向き直った。


「ぼ、僕は右手は吊り革を持っていましたし、左手は鞄を持っていたんです。

そんな状態で触るなんて無理ですよ」


「いーえ、貴女は吊り革を掴まずに私のお尻に手を当ててきてました!

素知らぬ顔でそっぽを向きながらも手だけはこちらに向かわせたんですよ」


「まぁ、状況は置いておいて先ずは話をまとめましょう。

それで、貴女はこの人はやっていないと」


「うむ、その通りじゃな。

妾は彼が証言通りに手が埋まっているのを確認した。

その上で先ほどの話であるが……」


「も〜うるさいうるさい!!

私が触られたって自己判断で言ってるからいいでしょ」


「良いわけないであろう。

そこまで言うのであれば警察に指紋を取ってもらってはどうじゃ?

お主の衣類から指紋が出たり、この者の指からお主の衣類の繊維が出れば大きな証拠となるであろう」


「そ、それは……そんなことしなくても私が触られたって言ってるんだから……」


「あ、警察呼んじゃってまして、間もなく来るそうです」


「え……」


話が水掛け論になってきた頃に成り行きを見守っていた駅員がポロッと溢した言葉に女性の顔がみるみる青くなっていく。


「わ、私は急用を思い出したからもう行くわ!」


そうして唐突に後ろを振り向くとそのまま改札へと向かう階段に向かい、猛烈なスピードで走っていくのであった。


マオ以外が呆気に取られていたところで、誰もが見たことのある青い制服の男性と女性がマオたちの方へとやってくる。


「あの、通報を受けてやってきたのですが……」


「痴漢犯罪に遭われた方というのはどちらでしょうか!?


その当事者は既にいなくなっており、男性と駅員はどうしたものかと戸惑うばかりであった。


「ひょっとして貴女が痴漢犯罪に遭われた方ですか?」


「いや、妾はその逆でその者の無実を証明しておったのじゃ。

この事件は冤罪だと思われ、当事者の女は先ほど警察が来ると聞いて逃げ出したところじゃな」


「……やはりそうでしたか。

先ほど逃げるように走っていた方を見てそうでは無いかと思ったのです」


マオの説明を聞いた男の警官は疲れたような表情でため息をつく。


そして全てが分かっていたようで、今回の騒動の真実を語りだしたのであった。

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