折口響子のお土産 1
この日、私は久しぶりに東京の地へと戻ってきていました。
というのも……
「はい、これがお土産です」
帰ってきて早々にお隣さんである、ユウちゃんとマオちゃんの元へと向かい、スーツケースを開きます。
中には生のキャラメルだったり、ホワイトなラバーズ的お菓子だったりと地元の有名なお土産品が入っていました。
そう……実は大晦日から今まで実家に戻っていたんですね。
本当はもう少し早く戻るつもりだったのですが、あちらの従業員が1人寝込んでしまい、向こうは気にしなくて良いと言っていたのですが、そういうわけにもいかずに今まで手伝っていたのです。
「うわぁ、ありがとう。
そんなに気を遣わなくても良かったんだけどね」
「じゃが、折角頂いたのじゃから貰わぬのも失礼であろう。
ありがたく頂くとするかのう」
「普段お世話になってるんですから遠慮しないでください。
あ、あと、これなんですけど」
そう言って私はもう一つのカバンの中を開けました。
「え、何これ……昔のパチンコとかスロット台のゲーム?」
「実家を漁ったら出てきちゃったんですよね。
お二人ともゲームはされますから、こんなものでも楽しめるかと思いまして」
「おお、これは中々面白そうじゃな。
これで複数人で出玉勝負など出来るのではないか?」
2人が嬉々として中身を確認しているので持ってきて良かったですね。
「これだけ喜んでくれるなら持ってきて良かったです。
パチンコの方は特に変わり映えしませんが、スロットの方は所謂4号機と呼ばれていたものなんですよね。
連チャン性が高くてリターンが大きいんですけど、リスクも同じように大きく、ギャンブル依存を強める要因になるということで規制されたんです」
「それは聞いたことがあるのう。
確かこの台が一番の原因ではなかったかえ?」
そう言ってマオちゃんが持ち出したのはギリシャの神様をモチーフにしたスロットのゲームですね。
マオちゃんが言う通りにこの台がきっかけでスロットの規制が厳しくなったと言えるでしょう。
「折角だから早速遊んでみますか?
当時はこの台は殆ど設定1で放置されていたので、とりあえずその設定でいきましょう。
この台の怖さが分かると思いますから」
「ちょっと面白そう……だけど、マオに触ってもらおうかな。
僕が触ると……ね?」
「ユウは運が限界突き抜けておるからのう。
最初は妾が打ってみるとしようかの」
こうして私達はゲー機にソフトを入れて起動したのでした。




