初詣は浅草へ 1
「流石にこのくらいの時期なら人は多くはないね」
「うむ、予想よりは全然少ないのう」
2人は毎年恒例の初詣に時期をずらしてやってきていた。
場所はいつも通りに浅草は浅草寺である。
道行く人達は2人の話通りに疎であり、人は多いものの、通路は意外と空いており、お詣りするには申し分ない程度の混み具合であった。
「お姉さんたち、人力車どう?」
「絶対楽しいよ!」
入り口に着いて早々に人力車の呼び込みに声をかけられるが、それらを全て無視して雷門の前へとやってきた2人。
「いや〜今年は例年以上に勧誘しつこくない?」
「まぁ、それも仕方ないであろう。
正月という掻き入れ時は終わったものの、まだまだ歩く人達は普通の平日よりは多いのじゃからのう。
それに今週は成人式があったからかの……ちらほら振袖の女子も見えるのでな」
「ああ、ワンちゃんネコちゃんって感じの思い出作りで乗ってくれる可能性あるかもね」
「そういう事じゃな。
まぁ、妾達には関係ないので無視していくのがベストじゃろう」
そうして歩き出した2人だが、ふと道に止まっていた人力車が目に映って歩みを止める。
その人力車には外国人のお客さんが乗っており、車夫が英語で話しかけていた。
因みに車夫とは人力車を引く人のことであり、決して社会不適合者を意味する社不ではない。
「やっぱり観光客メインの仕事だから、簡単な英語くらいは出来ないとダメなんだね」
「人力車を押す体力と英語を喋れる力か……意外と車夫という仕事は文武両道でなければ就けぬ仕事なのかもしれぬのう」
邪魔だと思っていた人力車の意外な一面を見たところで雷門を潜……らずに横道から先へと進んでいく。
「真ん中の道は人が多いからね」
「それに真ん中は神様の通り道じゃからな。
なるべく避けるのが良かろうて」
中央の道は人でごった返していたのたが、左右の細道は意外にも人が少なく、2人はすいすいと境内の方へと近づいていった。
「あ、有名な阿吽像が見えてきたね」
「ここからはもう一踏ん張りじゃな。
そうそう、あれの準備もしておくのじゃぞ」
「へへ、もちろんバッチリだよ」
そう答えてユウがポケットから取り出したのは、去年授かった厄除けのお守りであった。
マオの肩から下げた子供用のポーチから同じように厄除けの御守りを取り出した。
「先にお焚き上げに出しておく?」
「うむ、去年の事は先に片付けておいて、そこから今年の事を始めるとするかの」
登校日は土曜ですが、平日設定でお願いします。




