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発火装置

結局の所、今日は買い物どころではないだろうと言うことで帰ってきた2人。


「全く……とんでもない事に巻き込まれたもんじゃわ」


「まぁまぁ、人助けが出来たから良かったじゃん。

あの人、あのままだと確実に死んでたし」


暴走車はあのままだと確実に壁や車などにぶつかっていただろう。


その時の衝撃は耐えれても、その後の火災で確実に命を失っていたのは明白であった。


「それにしても……あの火の広がり方おかしくない?

遅延の魔法をかけてあの勢いなんでしょ」


「あの車は恐らく他国で作られた電気自動車……いわゆるEVであろう。

他国ではエコの観点から生産を推進しており、EV化が進んでおるからのう」


「その車が日本に来て暴走したって事?」


「EV車はまだ生産が始まったばかり。

その為に安全性がとてつもなく低いんじゃよ。

例えば……そうじゃな」


マオはそう言って自分の部屋へと向かい、小型の携帯用充電器を持ってきた。


「これはリチウム電池というものじゃが、EVに搭載されておるのはこれを巨大化したものなんじゃな。

さて、このリチウム電池の最大の欠陥を知っておるかの?」


「そりゃ、さっきの話をしてたら直ぐに分かるよ。

突然発火しちゃうって所じゃないかな?

確か不用意に廃棄したリチウム電池がゴミ収集車の中で燃えて火災になるとか言う話もあった気がするんだけど」


「うむ、その通りじゃな。

小型でもそのような火災を引き起こすのじゃ。

EVに使われているバッテリーに火がつけば、どうなるかは明白であろう」


「うわっ……意外と電気自動車って危ないんじゃん。

実際に目の当たりにしたから余計怖く感じるね。

幾らエコとは言っても……」


「あの車、言うほどエコでは無いぞ。

寧ろガソリン車の方がマシかもしれんのう」


「え?電気で走るから排気ガスとか出ないんじゃないの?」


「走っている最中はそうじゃな。

しかし、電気を生成する発電所では排気ガスが出ておるからのう。

更にEV車は作るときにも排気ガスを出しておると言われておるのう……それもガソリン車よりも遙かに多いそうじゃな」


「ええ……そうなんだ。

僕、こう言うのよく見かけてたから、てっきり地球環境に良いと思ってたよ」


ユウがそう言って立ち上げたパソコンから検索ワードを打ち込むと、他国で打ち出されたEV車のエコ補助金などの言葉が多数ヒットしていた。


「この辺りは政治の思惑が強いからのう。

せっかくじゃから今夜の配信はこの辺りの雑談をしてみるとしようかの」

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