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ブラックサンタの東京観光 1

「ブラックサンタ?」


「はい、ブラックサンタです」


クリスマスも近くなったある日の事であった。


ルーナから連絡が入り、そのまま家に招いたユウとマオ。


そんな2人に対してルーナは困り顔で告げたのがその言葉であった。


「ブラックサンタというとアレじゃよな?

普通のサンタと違って悪い子供のところに来るという……石や石灰を渡したり、持っている袋で叩いたり、その袋の中に子供を入れて誘拐してしまうという」


「ええ、その認識で間違いありません」


「それで、そのブラックサンタが一体どうしたって言うの?」


「日本を見学したいと申しておりまして……お二人に案内を頼めないかと」


「色々と経緯を省きすぎじゃない?

もう少し詳しく説明して欲しいかな」


テーブル席に腰掛けるルーナの前にお茶を置きながらも、ユウが呆れたように話す。


そんなユウに対してルーナも疲れたようにため息をついた。


「ええ、それはそうですよね。

現代でも少しは活動しているサンタですが、それに反してブラックサンタはほぼ活動を休止している状態なんです」


「まぁ、枕元にプレゼントがあったと報告しても良かったねで済む話じゃが、石や石灰が置いてあったり、子供が誘拐されれば大騒ぎになるじゃろうからな」


「そもそも現代の子はブラックサンタなんて知らないからね」


「最近はそのブラックサンタを取り上げた作品もあって少しは知名度を上げたみたいですが……所詮は少しという話でありますからね。

それで日本から完全に撤退するべきかどうかを見極める……という建前で観光したいそうなんですよ」


ルーナの言葉に2人は力が抜けてガクッと倒れそうになってしまう。


「か、観光って……それで僕達なのは?」


「神様関係の話で関わり合えそうなのがお二人だけなんですよ。

私達は観光案内できるほど地上に詳しくはありませんし……」


「まぁ、そうであろうな。

仕方ない……そういう事ならば一肌脱ごうではないか」


「本当に申し訳ありません」


「ま、神様関係には僕達も恩恵を預かってるしね。

偶には恩返ししてもバチは当たらないよ」


現在、ユウ達くじよじのメンバーはルーナを含む神様からの加護を受けており、悪意のあるコメントやリスナーが付きにくい状態となっている。


ネット関連で問題が起きやすい昨今、この状況は大変にありがたいというのは2人も実感していたのだ。


こうして案内する日を決め、2人はその日に備えるのであった。

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