折口響子の記録 水族館とイルミネーション 4
「はぁはぁ……まだですかね?」
「マップで見ると近くに見えたんだけどね」
「まさかほぼ半周する事になるとはのう」
しながわ水族館を見終わって、区民公園を出て直ぐに大井競馬場は見つかりました。
こんなに近いのならばと思ったのも束の間、イルミネーションの入り口まではかなり距離があったのです。
というのも、入り口からしながわ水族館から出た所の真反対側にあり、大きな公園よりも広い大井競馬場を半周する必要があったのでした。
途中で正門の入り口があったのですが、イルミネーションではこちらの入り口は封鎖されてしまっていました。
そうして歩く事15分ほど、ようやっとメガイルミの入り口に到達したのでした。
入り口であらかじめ購入していたチケットを渡して入場します。
既に綺麗な飾り付けしてありますが、ユウちゃん達の話ではこれは序の口、ただの出迎え程度だそうです。
そうして、先に進むと大きな建物が見えました。
「あそこ遠くにある建物がメインの観戦場所なんだよ」
「あの建物の裏側にレース場があり、よくテレビで見るような観客席があるのじゃな」
「で、建物の向かい、右手に見えるのがパドックってやつだね」
「ここで出走する馬がぐるぐると回って皆にお披露目するわけじゃな。
ここから馬の身体つきを見たり、健康状態や気合いの乗り方などを見るんじゃよ」
「ここは地方だからそこまで多くはないけど、それでも年末の東京大賞典とかは結構人が集まるかな」
2人の説明を聞きつつ先に進むと、右手にレストランっぽい建物と、3種類の販売小屋が見えました。
レストランでは様々なオーソドックスメニューが、販売小屋では其々にデザート類を取り扱っています。
「ここの3つの店でコラボキャラのメニュー出してるんだよね」
「3人おるからそれぞれに頼んでみるとするかのう」
こうして3人それぞれに頼んだメニューを待ちます。
私のところが一番遅かったので2人に謝罪しながら戻ってきました。
「はぁはぁ、お待たせしました」
「いやいや、全然待ってないよ」
「席はどの辺にしましょうか?」
「実はとっておきの場所があるのじゃよ。
本日はそこに行ってみるとするかのう」
そう言った2人の案内した先、2人が説明していた観客席よりも更に上の場所で、テーブルも窓もある、実に過ごしやすそうな場所です。
もちろん、ここからレース場が一望できると言うこともあり、それが特別感を増していたのでした。




