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最終回っぽい思い出し(最終回では無い)

「ふむぅ……やはり日本という国は凄いのう。

妾達が最初に流れ着いたのがこの国だった奇跡には感謝せぬといかんのう」


緑色の枝豆の解説動画を見ながらマオがふと呟く。


「最初の頃はよく分からなかったけどね。

でも、今ならこの国に流れ着いて、社長の目の前に現れたのがどれほどの奇跡かって思っちゃうよね」


その呟きを耳聡く聞き逃さなかったユウが相槌を打つ。


「安全で食べ物も豊富で美味しく、様々な娯楽に溢れていて、人々は寛容で異形のものでも受け入れる度量を持つ。

これが他国であったならとんでもないことになってたじゃろうな」


「女子供二人だから襲われていそうではあるよね。

その時の私達なら容赦なくやっちゃいそう」


「あの頃ならば襲ってくる方が悪いという考えになっておったであろうからな」


そう頷くマオの近くに来ると、ユウがマオの頭を触りながら角を撫でる。


「この角もそうだよね。

これを出しっぱなしにして街に買い物に出ても、コスプレか何かだと思って誰も何も言わないんだもん」


「文明の発達していない国なら間違いなく妖怪の類いに間違われていたであろうよ」


そう大笑いするマオに苦笑いを浮かべるユウ。


2人ならば何処にいても生き延びていただろうし、好きなように暮らすことは出来たであろう。


だが、その暮らしとは日本を知らない状態での暮らしであるから絶対に今の生活より数段落ちるはずだ。


そして、襲われて現地の人をやってしまったとあっては、2人がここまでこの世界を愛することも無かった筈である。


「だったらルーナもこの世界には来れても興味を持たなかったかもしれないね」


「最悪、ルーナと共に元の世界に帰っている未来すらありそうじゃのう」


「うわ、ありそう。

今更向こうに帰ったからってどうやって暮らすんだろうね」


「田舎でのんびり引きこもり生活じゃな。

刺激も無いから互いの共依存が益々進行していったじゃろうな」


「うげっ……マオのことは好きだし大切な家族でパートナーだけど、これ以上に求めるのはちょっと怖いかな。

最悪2人で1つ(物理)になる事とか求めそうでヤダ」


お互いがどっぷりハマってベタベタしている光景を思い浮かべたユウは顔を顰める。


「そうじゃな……お互いに別人じゃから分かり合えたことの喜びが大きい。

支え合って並ぶ喜びがある。

一つになるのはその瞬間は幸福かも知れぬが、その先にあるのは永遠の孤独よのう」


マオもそう言いながら顔を顰めた。


これは想像上の己の無知さに辟易してしまったのであろう。


こうして2人は解説動画から始まった議題を白熱させた。


翌日……なぜか2人で日本の良さを語る解説動画を配信することになっていたのだ。

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