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大吉を超えるもの

「さぁ、先ずは御守りを買いに行こうかしら」


と、里中が言うと突然里中の胸元がピカピカと光る。


「しゃ、しゃちゃー!

携帯のライト点けっぱなしですよ」


「う、うむ。

今すぐ切るとよいぞ!」


ユウとマオは慌ててそれを覆い隠すように前に立ち、気づいた唯もサポートをする。


「な、なんなの?

何か物凄く怒られてる気分なんだけど」


「これは多分ルーナからのメッセージじゃな。

自分の加護があるから他の神様に浮気するなと言う意味ではないのか?」


「あら、そうだったの。

ゴメンね〜ルーナちゃん。

今年は貴女が守ってくれるなら安心したわ。

大丈夫、他の神様の御守りは買わないわよ」


里中がそう言うと光は満足したように二回、ピカピカと瞬いてから消える。


「神様って気難しいんですね」


「まぁ、この国のように多種多様な神様がいる世界ではなかったからのう。

同時に崇められたり加護を与えると言う考えがないのではないか?」


「まぁ、女神様の加護なら確実に効果あると思うよ!

あっ、おみくじ引いて確かめてみようよ!!」


ユウがおみくじの場所に行き3人もついていく。


里中は律儀に100円玉を4枚取り出しておみくじを頂くことにする。


「よーし・・・あっ、やったー!!

大吉だよ!」


「妾は吉じゃがこれはどうなのじゃ?」


「吉は大吉の次に良いのよ。

中吉や小吉もあるから勘違いされやすいけどね」


3人がそう言いつつ残った唯の方を見ると彼女は見るからに落ち込み、身体からガーン!という擬音が浮き出ているかのように見えた。


「うう〜私は凶でした・・・今年はダメですよ」


「あら、そんな事はないわよ。

いい?おみくじは凶だけ結んで帰るの。

それは悪いものを神社に置いて家に持ち帰らないためなの。

だから、ここに結んで置いていけばそこに書いてある事はきっと起こらないわ」


「えっ、そうなんですか?

あれ?じゃあ、他のおみくじは持ち帰るんですか?」


「そうよ、そういえば教えてなかったかしら」


唯の言葉に里中は首をかしげる。


そう言えばこの子はお詣りが終わって御守りを選んでいる時にいつも先におみくじを引いていた気がする。


「まぁまぁ、いいじゃないの。

それよりも社長の結果が楽しみだから引いてみてよ!」


「うむ、ルーナの加護で大吉よりも良いものが出るかもしれぬぞ」


「大吉よりも良いものって、ゲームじゃあるまいし・・・」


と言いながら里中は昔遊んだゲームのおみくじを思い出してしまう。


そのゲームの中には大吉よりも上の結果があった


それは、


「バリ吉・・・嘘でしょ?」


里中は信じられないと言わんばかりにおみくじを見て愕然としていた。


「おお〜なにそれ!

大吉よりも上なの?」


「なんじゃなんじゃ、大吉よりも上のものがあるではないか」


だが、おみくじの内訳を知っている唯は有り得ない結果に呆然としていた。


「とりあえず目立ちたくないから歩きながら説明するけど、バリ吉って言うのはゲームの中のおみくじで現実には無いのよ。

それが出てきたってことがルーナちゃんの加護なんでしょうね」


「へぇ〜そうなんだ」


「ちなみにバリ吉とはどんな凄い事になるのじゃ」


ユウとマオの疑問に里中は苦虫を噛み潰したような表情になる。


「・・・喧嘩に負けなくなるの」


里中から告げられた余りの内容に唯も含めた3人はズッコケそうになる。


「え、なにそれ?」


「まるで意味が分からんのじゃが」


「しょうがないでしょ。

不良のゲームで喧嘩の結果がおみくじで決まる内容だったんだから」


「なんかやってるの見たことあった気もしますけど、そんな内容だったんですね」


そんな事をワイワイ言いながら帰路につく。


最後はトラブルもあったがこの世界で過ごす初めてのお正月はユウとマオにとって忘れられないものになったのであった。

今の時代にこのネタが分かる人は殆どいないんでしょうね。

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