緑色の枝豆 2
「緑色の枝豆動画で気に入ったものは分かりましたが、逆に気に入らないものとかあります?」
「妾はアレじゃな。
有名な企業やゲームの名前をサムネにドンと大きく表示し、それにオワコンとか破綻とか付けておる動画は好きではないのう」
「あ〜こういうやつだよね。
大抵が企業なら倒産間近とか、ゲームなら衰退とか書いてあるやつ」
そう言ってユウが見せた画面には、2人が話していたような内容の動画が並んでいた。
「基本的にこのようなタイトルのものはその名前で釣っているだけのものが多い印象じゃな」
「私も一回観たことがありますが、正直な話をすると、それは貴方の感想ですよねという意見しか出てこなかったですね」
「枝豆動画に限らず、○○はオワコン!みたいな動画は基本的にビッグネームでの釣りって印象しかないよね。
再生数稼ぎたいだけってのが目に見えてるし」
「その辺りは既に公式から声明が出ておるようなので、いずれは淘汰されるのではないかな?
ほれ、このような声明が出されておるぞ」
マオがそう言って見せたSNSのアカウントは、枝豆を含む東北シリーズの公式アカウントであった。
そこには特定の個人や団体を攻撃するような内容は禁止する旨をハッキリと書いてある。
「なるほどなるほど。
これだとさっき話していたインフラ系はどうなるんですかね?」
「あくまで予想なのじゃが、事実に基づいたものならば良いのではないかと思う。
例えば日本のインフラは完璧じゃったが、どこどこの鉄道インフラは何度も事故を起こして期間が延び、追加の代金も要求されて結局損をする羽目になった……これは紛れもない事実であり、攻撃する内容では無いので問題ないのでは無いと思う」
「政治というよりは歴史の話になるしね。
でも、これでその国がダメダメすぎる。
信頼性なんて一切ない。
そこに任せるような国もバカ……なんて言いだしたら、攻撃的内容になるんじゃないかな?」
「なるほど……さっきの企業に対する釣り動画にも共通すると思いますが、個人の感情や意見を枝豆に乗せて発信するなという事ですかね」
響子がそう納得する中で、ユウとマオが枝豆の解説動画の検索結果をスライドさせていく。
「主教系はアウトらしいから○○教会なんて話題もダメなんじゃないかな?
逆に大学に行ったらマルチの被害に遭った……なんてのは事実だし、犯罪に対する注意喚起だからOKだと思う」
「後はこれを見る限り、有名な殺人犯に取材する立場ならOKだと思うのじゃが、その殺人犯を枝豆に仕立て上げるのはNGじゃろうな」
「キャラクターのイメージが著しく損なわれますからね。
では、しくじった国の秘書や補佐官という立場なら問題ないですが……」
「それを実在の首相や大統領にしてしまうとダメじゃない?
微妙だけど絶対的な差があるでしょ」
「うむ、その通りじゃな。
さて……それらを踏まえた上でオススメに上がってきた動画を少し観てみぬか?」
マオがそう言って示した動画は日本の技術がどれだけ高いかを説明し、世界がどれだけ評価しているかを説明している動画だった。
「さんせ〜それじゃ、ぼくはコーヒーでも入れてくるのだ」
「私はお茶請けを買ってきましたので皆さんで楽しみましょう……なのだ」
「よし、それではユウが戻ってきたら再生するのだ」




