緑色の枝豆 1
その日、ユウはオススメに出てくる動画を観ていたのだが、ここ最近の明らかな変化を感じていた。
「うーん、やっぱりここ最近でめっちゃ増えたよね」
「どうしたのじゃ?
うんうんと唸って」
「いや、最近この手の解説動画が増えたなぁって思ってさ」
ユウがそう言って見せてきた動画では、緑色の頭に枝豆を付けたキャラクターが色々な出来事の解説をしていた。
「ああ、確かにこの手のキャラの解説って増えましたよね。
いまじゃゆっくりに取って代わってるとも言われてますね」
今日もなんやかんやで部屋に遊びにきていた響子も賛同する。
「確かに異常とも言えるほどに増えておるのう。
それも元々、生声やゆっくりで解説していた出来事を焼き直ししている印象があるのじゃ」
「まぁ、聞き取りやすいから分からなくはないんだけどね。
ただ、全部同じ登録者が出しているかと思ったら結構違うんだよね。
何なら同じ内容の出来事を別々の配信者が枝豆に解説させてるってのも少なくないって気がする」
「確かによく見ますね。
特に最近では海外の鉄道インフラ解説とか、同じ国の全く同じ出来事なのに3パターンくらいは見かけますよ」
響子が見せてきた動画の例としては、インドネシアでの高速鉄道建設について、複数の枝豆が解説しているのが分かった。
「それ実際に聞き流して聞いてみたけど、微妙に掘り下げ方が違ったりしてて割と同じ事柄でも飽きずに聞けたよ。
正直、海外のインフラ整備で日本製を高いと言って他国に頼んだ系は面白いって感じちゃうよね」
「基本がザマァ系の内容になっておるからのう。
安物買いの銭失いの典型じゃな」
「私はアレですね。
海外の有名人の親日話とか見ちゃいますね。
後は日本に感謝するパラオやブルネイ、ブータンの話なんて日本人なら知っておくべき歴史じゃないですかね」
「確かにのう。
誇張表現や無意味な妄想で自国に自信を持つのはどうかと思うのじゃが、こういう客観的な内容や事実に基づいた内容で自国のことを好きになるのは重要なことじゃな」
「正直誇りに思っちゃうよね。
僕たちが住んでいる国の人たちはこんなに素晴らしいことをしてたんだって」
「日本のマスメディアはやたらと自国を下げるようなことばかり書きますからね。
中には嘘の内容や、わざと誤解されるようなことまで書いて自分の国を叩くから辟易としてしまいますよ」
「なるほどのう。
そう言った気持ちから、このような動画が好まれておるのかもしれぬな」




