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ネコリの里帰り 5

ユウ達に連絡を取るかどうか迷っていた巫女は、とりあえず近場に連絡の取れて信頼できる退魔士がいないかどうかを確認する。


退魔士協会が受けた仕事を担当する退魔士チームに割り振るという役職柄、殆どのチームの動きを確認することが出来るようになったいるのである。


そうして条件を絞っていくつかのチームを割り出していくと、偶然にも彼女が特に信頼しているチームが近くに来ていることが分かった。


「あら……彼女達になら頼めますね。

……もしもし……」


こうしてとあるチームに連絡を取った所、彼女達は巫女の元へと直ぐにやって来た。


「巫女さんから連絡なんて珍しいね」


「何か困り事が……あったんでしょうね」


やって来たのは黒髪短髪というボーイッシュな出で立ちのカザ。


そして、本日はいつものシスター服ではなく、大人しい色合いのワンピースを着たハナの2人であった。


「突然すみません。

色々と面倒ごとが起こりそうなので……とりあえず車に乗ってください」


巫女に言われるままに大人しく後部座席に乗り込む2人。


その時、カザはいつも通りだったのだが、ハナの方がぴくりと眉を動かして反応を示した。


「これは……妖怪の気配?」


「さっきまで雪女が乗っていましたからね」


「雪女?」


「貴女達の後輩のパートナーですよ。

話ぐらいは聞いたことがあるでしょう?」


「ああ、確かセシムさんでしたっけ」


風と花に加えて月と鳥は花鳥風月という名前で退魔士のチームを組んでいる。


その一方で、ユウ達と出会ってしまった為に巻き込まれる形で、同名の配信チャンネルを持つ事になってしまった。


本業である大学生に加えて退魔士の仕事もある為に、配信は一週間に一度程度なのだが、そのレア度と現役女子大生チームの華やかさから、くじよじ内でも中堅クラスの人気は保持していた。


上司である巫女さん、更には師匠でもあるユウとマオとの絡みもあり、セシムとネコリの事は話程度には聞いていたのである。


会話の流れから2人が福岡に来た理由と道中であったトラブルの事を話す巫女。


その内容に2人は思わず顔を顰めるのであった。


「やだやだ、話の通じないお爺ちゃんは性質が悪いね」


「私なら聖書で殴り飛ばしてますね。

それで、そのお爺さんがどうかしたんですか?」


「とりあえず問題が無ければお話します。

2人はこの辺りのホテルに泊まっている筈ですが……」


そう言って巫女が車を走らせたのはやたらとネオンが眩しいホテルの多い区画であった。


「巫女さん、なんでここ紹介したの?」


「え?安くて豪華で良いじゃないですか。

割と女の子だけのお泊まり会に使われたりもするんですよ。

……それよりも、何か怪しい気配は感じませんか?」


「その角を左に曲がって。

そう、その先……ホテルの横の狭い路地裏から変な気配を感じます」


ハナの言葉に従ってそちらを見ると、闇の中でゴソゴソと動く人影を見かけた。


「はぁ……思った通りでしたか。

2人とも、すいませんがあの人を拘束してください。

責任は私が取りますので」


「はいはい、後でなんか奢ってよね」


「あれが誰かはだいたい予想が付きますから良いですけどね。

後でちゃんと事情を話してくださいよ」


こうして2人は路地裏へと入っていき……しばらくしてハナの術によって体を縛られた老人が引き摺り出されるのであった。

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