ネコリの里帰り 4
博多駅へと降りて来たセシムとネコリ。
改札を出た所でそんな2人に手を振る人物がいた。
「長い時間お疲れ様でした。
問題はありませんでしたか?」
そう言って近づいて来たのは、セシムの先輩であり、ネコリの事件にも同行していた神使巫女であった。
「巫女先輩、お久しぶりです。
2人は知り合いなんだよね?」
「う、うん。
会ったのは少しだけなんだけど」
「正直、ネコリちゃんの対応はユウちゃん、マオちゃん案件でしたからね。
とは言え、知らぬ仲ではありませんから。
とりあえずは私の車で移動しましょうか」
こうして巫女に駐車場まで案内され、3人は車へと乗り込んで移動を始めた。
「私の実家の神社に泊めても良いんですけど……どうします?
2人でどこかに泊まるならそれでも良いですけど」
「福岡って美味しいものが多いって聞いたから少し観光して行きたいんですよね。
巫女さんの実家って山奥になっちゃいますよね?」
「それなら食事が出来て泊まる場所も近くにある所に行きましょうか」
「それでお願いします」
巫女とセシムが会話している間、ネコリはずっと黙ったままであった。
どうやらセシム以外の前では借りて来た猫のようになってしまうようであった。
そんなネコリを微笑ましく思いながらも話は車内でのトラブルへと移っていった。
「ふむふむ、それは災難でしたね」
「でも、ネコリが大活躍だったんだよ」
「そ、そんなことは……」
「例えどんな理由があったにせよ、その若者はネコリちゃんに助けられて感謝している訳ですからね。
誇って良いと思いますよ。
それにしても……こちらに態度の悪い老人ですか」
「あれ?何か気になることでもありました?」
「いえいえ、大したことではありませんよ。
最近はマナーの悪い老人が多いなと思っただけです」
「良い人は確実にいるんですけどね。
ただ、悪い人のレベルが高過ぎて目立っちゃうんですよね」
「それは間違いなくあるでしょうね。
一部の界隈だけなのでしょうが、その一部の被害が大きすぎるという事です……っと、着きました。
ここの焼き鳥屋はオススメですので」
そう言って巫女は店の前に車を停める。
「この先の信号を右に曲がってしばらく行けばホテル街になっているので、食事が終わったら行ってみると良いですよ。
明日はユウちゃんたちとも合流する予定ですが、昼過ぎから夕方になると思いますので、それまではのんびり観光でもしててください」
「何から何までありがとうございます」
「あ、ありがとう」
お礼を言う2人を残して車をしばらく走らせる巫女。
適当な場所で駐車した彼女は大きくため息をついてスマホを取り出した。
「中々面倒なことになっているみたいですね。
最悪、ユウちゃん達には急ぎで来てもらわないといけないかもしれません」




