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月の裏側の話 1

お月見記念のスピンオフみたいな話です。

「どうっスか?

あいつら、今年もこっちを崇めてやがりますか?」


「ああ、こちらの方を見ながら団子やら何やら供えているな」


「毎年信心深いっスね」


ここは地球より遥か上空の月の上。


そこで人のような大きさで二本足で立つ軍服のような物を着たウサギ達がいた。


その片割れはモニターに映る画面を見ており、モニターには地球の日本各地の様子が映し出されていた。


「あれだけこっちを信仰しているのだったら、やっぱり攻めるのはその国からっスかね」


「うむ、普段から崇めておるこの星の使者が支配すると言えば喜んで国を差し出すであろう」


「その為の兵器も続々と開発中っスからね」


もう1人のウサギがそう言って別の方向を見る。


そちらの方は格納庫になっているらしく、彼らの10倍はあろうかという巨大な人型兵器が数えきれないほどに並んでいた。


「もう間もなくあの大地に降り立つ作戦も実行できるであろう。

その時は……」


「へぇ〜ここが月の裏側なんだ」


「まさかこんなハイテク基地が隠されておるとはのう」


「な、何者っスか!?」


突如として聞こえてきた呑気な声に2人が振り向く。


そこには先程モニターに映し出されていた地上の人間が2人立って興味深そうに辺りを見渡していた。


「地上の生き物だと!?

奴らの乗り物がこちらに来ているという情報は入ってないぞ!」


「別にロケットで来たわけではないからのう」


「そ、そんな事はどうでもいいっス!

ここを見られたからには生きて帰すわけにはいかねっスよ!!」


下っ端の方のうさぎがそう言ってポケットから銃を取り出す。


「あ、こら、待て……」


「またねぇっスよ。

先手必勝っス!!」


下っ端うさぎが引き金を引くと、銃口から金属の塊ではなく、何らかのエネルギーの球が発射された。


その球は目では捉えられない速さで2人の人物の内、背の高い方に向かっていき……


「邪魔」


その人物が手を払うように動かし、弾き返されたエネルギーの球。


そのまま近くの格納庫の方へと向かっていき、巨大な爆発が起こって何体かの巨大兵器が倒れていった。


「は?」


「な、ば、バカな!?」


その状況に下っ端うさぎの方は何が起こったのか理解できない顔となり、上司のうさぎの方は開いた口が塞がらないでいた。


「くぅ、こうなったら増産中の巨大兵器で対抗してやるっスよ。

文句は無いですっスよね!?」


「う、うむ……起動承認!!」


上司うさぎがモニター近くにあるガラスによって閉ざされた赤いボタンを、ガラスを叩き割りながら押す。


その瞬間に建物内は警報が鳴り響き、天井から溢れる光が警戒色で赤色に染まった。


しかし、当の2人はと言うと……


「ガラス叩き割りながら承認って、モロにあのアニメじゃん」


「ある意味お主のアニメでは無いか?」


「えっ……ああ、確かに!」


と、暢気なものであった。

エイプリルフールに近い感じで読んでもらえればと思います。

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