オールスターを観に行く3人 1
「ついに観に来たぞーーー!!」
映画のチケットを手に感極まったように叫ぶ(声量抑え目)ユウ。
「なんだか今日のユウちゃんはいつもよりはしゃいでいる感じがしますね」
その後ろでは響子がマオに話しかけていた。
「まぁ、仕方ないであろうな。
今日の為に何作品も未視聴だった作品を見ていたし、5年前にあったオールスター作品も昨日観ておったからな」
3人が観に来たのは今年で20周年になる変身ヒロインの劇場版。
今年は5年ぶりにオールスターとして78人が勢揃いするという触れ込みだったので、ユウがとても楽しみにしていた上に未視聴だった作品を一気に3作品ほど視聴完了させていた。
「私は初代しか知らないんですけど、いつの間にやらこんなに増えたんですね」
「20作品の内、続き物が2作品。
その時は一人ずつしか増えておらぬが、それ以外では毎年3人から6人増えておるからのう」
「直近でやっている作品もこの間までは4人だったんだけど、2週間くらい前に一人増えて5人になったんだよね」
「今回はその4人がそれぞれにチームを率いて、更にそこに12作品目から19作品までのキャラクターが選ばれて、其々4人ずつのチームを作っておるそうじゃな」
そう言いながらマオはスマホで映画の予告動画を響子に見せる。
「オールスターって各作品ごとにチームがまとまっている印象が強いから、こうやって作品の垣根を越えたチームが作られるのって珍しいんだよね」
「じゃが、ファンが本当に見たいのはこういう組み合わせでの掛け合いなのじゃろ?」
「へへ、流石に分かってるじゃん。
そういう予告もあって楽しみにしてるんだよね。
って、事ではい!」
売店に行っていたユウがおもむろに二人に棒状のオモチャを手渡した。
「これは何ですか?」
「映画の上映中にこれを光らせて応援するんだよ。
小人チケットの子は無料で貰えるんだけど、大人は買わなくちゃいけないから。
頑張って応援するよ!」
「ふふ、本当にはしゃいでいて楽しそうですね」
「そうじゃな。
この作品のテーマこそ本当はユウがやりたかった事かもしれんからのう」
「何か言いましたか?」
「いいや、何も言うておらんよ。
せっかくじゃからユウのテンションに乗せられて共に楽しむとしようかのう」
「そうですね!」
こうして3人はいつもよりテンション高くはしゃぎながら劇場内へと足を踏み入れたのであった。




