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ユウとマオ、人形になる 3

「あ、響子さんおはよう」


「あ、おはようございます!」


ユウが朝のゴミ出しをしようと外に出ると、ちょうどお出かけ用の服を着て出かけようとしている響子の姿があった。


「朝からご機嫌だね。

何かあったの?」


「推しのグッズを予約していて今から取りに行くんですよ」


そう話す響子の手元にはかなり大きいマイバッグが握られていた。


「へぇ〜推しのグッズねぇ」


気付かれてはいないのだが、その推しというのが自分とマオを指しているユウはふと考え、そういえばトップスターくじの販売が、地域によって変わるが今日か明日にだった事を思い出した。


「そうなんです。

直ぐ近くのコンビニにあるので取りに行こうかと」


(取りに?買う事は確定しているからそんな言い方なのかな?)


ふと、響子の態度が気になったユウ。


販売型のくじなのでもう少し焦って買いに行っても良さそうなものだが、落ち着いて上機嫌な響子に興味を持ってしまったのである。


「ゴミ出しついでについて行ってもいい?

僕もコンビニで買うものあったし」


「はい、もちろん大丈夫ですよ」


本当は買うものなど無いのだが、その場で卵でも買って帰れば良いかと思い響子に同行するユウ。


二人で最寄りのコンビニに入り中を見渡すが、くじよじのトップスターくじをやっている様子はない。


「あれ、ここで本当にあってる?

くじやってないみたいだけど」


「あれ?私、くじのグッズって言いましたっけ?

それはさておき、ここで間違いないですよ」


今日この返事にユウは内心でしまったと考える。


くじよじのユウとしてグッズの事は知っているが、今はただのユウとしてついてきただけの存在である。


それなのにくじの事を口に出したのは軽率な発言であった。


だが、幸いご機嫌な響子にはその疑問よりもグッズの方が大事だったらしい。


「すいません、トップスターくじを予約していたものですが……」


「ああ、本日は誠にありがとうございます。

いまご用意しますので少々お待ちください」


声をかけた店員さんが裏に引っ込み、台車に乗せたくじよじのグッズを運んできた。


「こちら、80枚分の代金となりますがよろしいでしょうか?」


「はい、カードでお願いします」


レジにはコンビニでの支払いとは思えないほどの値段が表示されていたが、響子は顔色一つ変えずにカードを差し込み、暗証番号を入れて購入を完了した。


「大きいものはこのバッグに入れていきますね。

小さいものは袋をいただいてもよろしいですか?」


「はい、勿論です」


「ああ、待って待って。

流石に手伝うから」


まとめて抱えようとする響子を慌てて手助けするユウ。


「すいません、助かります。

ユウちゃんは買い物しなくて良かったんですか?」


「そんなもの後からどうにでもなるから。

まさか箱買いするとはね……」


「幸い、くじの中身を全て買取するならば予約に応じてくれるとの事でしたので……思い切って買っちゃいました。

この二人の初期衣装でのフィギュアが最高なんですよ」


爽やかな笑顔で応える響子を見ていると、あの時の企画でこの衣装を通して良かったと思うユウであった。

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