ユウとマオ、人形になる 2
二人に幾つかの資料が渡される。
その中には二人の姿を立体にしたイメージ図が描かれており、彼女達が今までに出した衣装や髪型をそのままであった。
その中のイラストの中で二人は全く同じデザインで視線を止めた。
「これって……勇者時代の衣装?」
「妾は魔王の衣装じゃな」
ユウは当時装着していた鎧と剣を持った勇ましい姿で、マオもしっかりと大人の姿で当時のローブや杖が再現されていた。
「この衣装の事はリーブ先生から詳しく聞いて再現させてもらったのです。
かなり拘りを持って作った自信作ですよ」
「リーブ先生か……」
二人の原画を担当し、同じVとしても活動していた田中リーブ。
本業であるイラストレーターの仕事が多くなった事でコラボをする機会が無くなっていた。
「懐かしい名前じゃな……今はどうしておる……」
「いや、この打ち合わせの場にしっかりおるからな」
そう、最近はめっきり顔を合わせる機会が無かったのだが、今回の立体化に合わせてこの会議の場にしっかりと居合わせていたのであった。
「ああ、最近会ってなかったから忘れかけてたけど、確かにそんな顔だった……気がする?」
「ユウちゃんも前と変わらん態度やな、ホンマに」
久しぶりに会う3人ではあったが、以前と変わらない態度を取れる辺りは、流石に同じ性を使う家族なだけはあるのかもしれない。
「それでこれは割と僕も自信作なんやけど」
「リーブ先生分かってて言ってるでしょ。
その内なら作っても良いけど最初にこれは選ばないよ」
「妾達は魔王と勇者を捨てたコンビじゃからな。
最初にそれを選ぶ事はないぞ」
「まぁ、ホンマはわかっとったけどね。
一応こういうのも出来るって意味で選んだんやけど、これはポイで」
リーブはそう言って勇者と魔王姿のイラストを破り捨てた。
「君らにはこっちのほうがいいかなと思ったのを出すわ」
そう言ってまだ机の上に置かれていない新たなイラストを出すリーブ。
それを見た二人は目を見張る。
「これって…….」
「二つで一つになっておるのか」
そこには初期の衣装で互いにゲームのコントローラーを握る二人のイラストがあった。
最初期の頃に二人でゲームをして競い合った姿。
後にユウの方がゲームの腕前はぐんぐんと上がってしまい、お互いに対戦する事は無くなったのだが、それでもこの時代は確かにあったのだと思い起こさせてくれるデザインであった。




