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響子さんによる推しの話 3

「えーっと、それで何の話でしたっけ……ああ、転売でしたね。

この手のホストに貢ぐ感覚の人って、推しにどれだけお金が入るかではなく、推しの為にどれだけお金を使ったかが大事なんですよ」


「先程のホストの場合はそのまま、使った額が推しの売り上げに直結するがのう」


「そこがアイドルとか配信者とかの違いですね。

グッズを転売してしまう人がいる訳ですが、そういう人から買ってでも私は推しのためにこれを入手したんだという実績が欲しい訳ですよ。

それと同時に、そのグッズを身につける事で、周りの同担に対してそのグッズを持っている自分を見せつける訳ですね」


「なるほどのう。

お金をいくら注ぎ込んだが大事じゃから、転売屋を利用する事も厭わぬという訳じゃな」


私は推しの幸せが一番ですのでこの考えは好きではありません。


なので全員がそうだとは言いませんけどね。


でも、同担拒否という言葉が生まれるくらいには、女性は同じ推しのファンに対して敵意と対抗心を向けてしまう人が多いのです。


「さっきのホストの話に例えると、本人に自分の渡したアクセサリーを付けてもらうのに似た感覚ですかね。

どっちにしてもマウント取りに違いはありませんし」


「それはそうじゃな」


「同じ推しで無ければ全然仲良くなれるみたいですけどね。

後は転売して高くなるパターンとしては、最近は投機目的もあるんじゃないかと思ってしまいますね」


「投機というと短期的な売り買いによる短期的な利益を得るためという事かえ?」


「そうですね。

最近のカードゲームのカードなんて強さではなくキャラの人気で取引の値段が決まっているんですよ。

だからカードの効果に関係なく、人気の女性トレーナーのカードにありえない値段がついているんです。

このキャラなんて初日に20万円付いていましたからね」


そう言って私が見せたのは、ゲーム内で配信をしているというキャラでした。


彼女は20万から始まり、全盛期は25万すら超えていたはずです。


「何というかチューリップバブルのような話になっておらぬか?」


「朝売ったカードが、次の日には買い戻せない値段まで上がっているのですから、あながち間違いではないですね」転売屋の転売屋の転売屋の……と、こうなってくると訳が分かりません。

ただ、何処かで価格崩壊は必ず訪れるのでババ抜きをしているようなものですよ」


「ますますチューリップバブルではないか。

しかし、今日は本当に助かったのじゃ」


「いえいえ、お役に立てたなら光栄ですよ」


「友人がグッズを作る時はなるべく転売屋の手に渡らぬように、再販売も視野に入れるとするかのう」


こうしてこの日の難しい話は終わったのですが、後日販売されるユウマオのグッズは必ず再販の案内がされるようになっていたのでした。

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