響子さんによる推しの話 1
とある日のこと、ユウさんとマオさんの家に招かれた私は、そこでお茶をしながら雑談していました。
「推しのグッズですか?」
「うむ、どのぐらいの頻度で購入しているか。
どんな理由で購入しているかとかを知りたいと思ってのう」
目の前に座っているのはマオちゃんのお姉さんのマホさんです。
とても綺麗でモデルさんのような体型をしている彼女。
こういう話をしてくるということは、私が知らないだけで実はその関係の仕事をしていて、グッズなどが出ているのかもしれませんね。
少し欲しい気がしますが、私は自分の推しであるユウマオのグッズで手一杯ですからね。
「私は基本的には情報収集はあまりしていないので、推しの呟きとか、配信で宣伝してたりしてるのを見かけたら買うくらいですかね」
「手に入らなかった時に転売などに手を出したりは……」
「しないですねぇ。
転売屋から買っても推しにお金が入る訳じゃありませんし。
それなら再販を信じた方がいいですよ」
実際にグッズは欲しいところですが、私が払ったお金はちゃんと推しの所に行って、推しの活動に繋がって欲しいですからね。
転売屋の私腹を肥やさせるのは業腹というものですよ。
「なるほどのう。
ならばそのように待っているものの為にも再販出来るように頑張らねばな」
「マホさんも何かグッズを出されてるんですか?
あるなら私も欲しいです」
「あ、いやいや、妾の事ではないぞ。
その〜なんじゃ……アレじゃよ。
そういうことをやっておる知り合いから相談を受けておったんじゃよ。
そこでファンの心理を知りたくなったという訳じゃな」
うんうんと早口で捲し立てるマホさんに少し驚いてしまいます。
いつも素敵な大人の女性というイメージだったのですが、こういうギャップも良いものですね。
そう言えば一つだけマホさんに伝えなければいけない話があるのを思い出しました。
「えーっと、一つ思い出したのですが男性と女性ファンで心理というものが変わってきます。
なので、そこについては注意が必要ですかね」
「男女の違いとな?」
「男性の場合は推しの共有が出来るんですよ。
同じ人が好きだと分かれば、そこから意気投合して仲良くなれる訳ですね」
「ふむふむ、確かに言われてみればSNSでも仲良く推しを共有しておるのう」
「ですが、女性の場合……特に相手が異性の推しの場合は推しの共有は出来ないんですよ」
多分この話をしている時の私はかなり微妙な顔をしていたと思います。




