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家電を見に行こう 3

羽のない扇風機が冷風を出しているゾーンを抜けた先には、料理用の家電が置かれているコーナーがあった。


「うわ、土鍋だって。

冬の季節なら良いけど今は暑いよね」


「目的はそこでは無いであろう。

ユウは少々浮ついておるようじゃのう」


「いや〜なんだか楽しくなってきちゃった。

ほら、音楽も何となく楽しい気分になってくるしね」


店内では電波ソングとしても有名なこのショップのテーマソングが流れ続けていた。


耳に残るその軽快な歌はユウの心に見事に刺さったようである。


「それよりも電子レンジじゃよ。

こちらはオーブントースターじゃからその近くに……あったぞ」


「うーん、どれどれ……ここら辺は多機能で値段がお高い物ばかりだね」


ユウ達の家で使っていた電子レンジは温めや解凍のみにしか使えない物であった。


しかし、2人が見つけた物はスチーム機能やらオーブン機能を兼ね備えた大容量のレンジであった。


もちろん、お値段もその分だけ可愛げのないものへとなっている。


「どうする?

折角じゃから新しい物に変えてみるかの?」


「うーん、正直今のやつで十分に間に合ってたからなぁ。

同じようなのは……あ、この見本のやつとか良さげじゃない?」


ユウが見つけた電子レンジは壊れた物と同じように温めだけに特化したタイプであった。


「確かにオーブントースターは別に家にあるからのう。

ふむ……それならばもう一件見に行くことにせぬか?」


「そう言えば最初にもう一つ見たいところがあるって言ってたっけ。

そこも駅前にあるの?」


「うむ、すぐ近くじゃよ」


そう話すマオの案内でやってきたのは北欧風の家具で人気のチェーン店であった。


お値段以上の満足度を得られるということや、通販でも商品を頼めるのが人気の秘訣であった。


「実はここにも安いレンジがあるそうなのじゃ。

ほれ、アレじゃな」


先程の店と違い、綺麗に商品を並べられた店内では目的の物をあっさりと見つけることが出来た。


「おお、これじゃこれじゃ」


「へぇ、これが……って、ウチで使ってるのとおんなじやつじゃん」


「うむ、前は通販で買ったのじゃが、その頃はよく分からずに唯に選んでもらったから気付かんかったのじゃろう」


「あ〜そっかそっか。

唯さん懐かしいなぁ。

元気にしてるかな?」


唯とはユウとマオの最初のマネージャーであり、里中社長の姪っ子でもある。


寿退社を契機にマネージャー業からは降りていた。


「社長が何も言わんところを見ると元気にしておるであろうよ。

というわけで思い出のこの商品に決めてしまって良いかの?」


「文句なし、バッチリだよ!」


こうして電子レンジが壊れた騒動は、新しく同型機を購入するということで決着を迎えることとなった。


そして帰ってからは久しぶり唯へと連絡をとる2人であった。

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