響子とマオ(大人) 初めての出会い 5
今日の出会いから帰り道を一緒にした話などをして少しずつ慣れていきました。
その美人っぷりにまだ恐れ多いところはありますが、それでも慣れてくれば何とかなるものです。
場がいい感じに温まった所で、会話デッキとして用意しておいた一つのカードを切ります。
「そう言えばマホさんは普段は何をされているんですか?」
この美貌ですからね……モデルとか女優とか言われても驚きませんよ、私は。
「妾の仕事かえ?
それはアレじゃよ……いわゆる版権ビジネスという事に関わっておるのう」
「版権ビジネスですか?」
聞き慣れない言葉に思わず聞き返してしまいました。
どうやら予想と違って表立って動く仕事では無いみたいですね。
「版権ビジネスとは……そうじゃな。
アニメやゲームのキャラクターグッズを元の会社以外が販売している事があるであろう?
それは元の会社にお願いして許可を貰って作成して販売しておるのじゃが、そう言ったものを版権ビジネスと言うのじゃよ」
「へぇ〜つまりはグッズ販売などを手掛けているという事ですね」
「うむうむ、今日もその打ち合わせのために出かけておってのう。
その帰り道にお主を見つけたというわけじゃよ」
「なるほど!
そうだったんですね」
「お、早速話が盛り上がってるみたいだね」
そう言ってユウさんがやってきてテーブルに幾つかの料理を並べて行きました。
「マホがいる時はお酒飲むからつまめる物がメインになっちゃうんだ。
良ければ響子さんもどうかな?」
「えっと……私は……」
「おうおう、遠慮せずに飲むと良いぞ。
今日は良いものが入っているからのう」
そう言ってマホさんが私の前に並べたお酒を見て驚きました。
それは私の地元でも滅多に飲めない有名な地酒だったからです。
実はこう見えて私はお酒には目が無かったりします。
「え、えっと……それじゃ、ちょっとだけ……」
こうして誘惑に負けて一時間。
ユウちゃんの美味しい料理のおかげでついつい杯を傾けるペースも早くなり、気付けば2人で一升瓶を飲み干してしまっていました。
「ほう、これだけ飲んでも顔色が一切変わらぬとは……中々やるのう」
「その……実は私、実家では牧場の全員を潰してしまった事もあって……家では飲むのが禁止されていたんです。
それでつい」
久しぶりのお酒に気持ちよくなってついつい飲み過ぎてしまいました。
こんなに遠慮なく飲んでしまっては嫌われ……
「いや〜良いではないか!
ここまで付き合ってくれるものは中々おらんからのう。
ユウは飲めるんじゃが、そんなに一緒に飲んではくれんからのう」
「2人とも飲んでたら収まらなくなるでしょ。
さ、響子さんも疲れてるだろうし、マホも仕事で疲れてるだろうから今日はここでお開き!
またマホが来たら呼ぶから今日はこの辺にしておこうよ」
ユウちゃんに言われて時間を見ると家に帰ってきてからかなりの時間が経過していました。
「そ、そうですね。
今日はありがとうございました。
本当に楽しかったです」
「妾も楽しかったぞ。
また盃を酌み交わそうではないか」
「は、はい!」
こうしてお二人に別れの挨拶をしてから家へと戻ってきました。
家に帰ると疲れがドッと出てきてすぐにベッドに入り込む事になってしまったのですが。
翌日、既にマホさんは帰っている事をマオちゃんから聞きました。
何だか推しに会えたような気分で、また会える日が来たらなと思ってしまってたり。
本当に私の上京は恵まれていると感じた1日でした。
隣の響子さんシリーズ、毎回3話ぐらいで畳もうと思っているのに、いつも予定より長くなってしまいます。




