夢の国 アフター
夢の国に遊びに行った次の日、私は3人で撮った思い出の写真を飾ってみる事にしました。
「うーん、あそこはユウマオグッズで埋めてますからねぇ……どうしましょうか」
部屋の棚の中にはユウちゃんとマオちゃんのグッズが飾られたコーナーがあります。
そこにはアクリルしスタンドやキーホルダー、カードダスやシャツなど様々な物が飾られた正に推しの為の一画。
毎日おはようとお休みなさいの挨拶をし、寝る時にはそこに足が向かないようにベッドの位置を気をつけました。
仲良くしてもらっている隣人のユウちゃんとマオちゃんにも足を向けて寝られないので、結果的に2人の部屋と推しの棚を結んで垂直になる形でベッドを設置する事になりましたが。
そして今は3人での思い出を飾るために四苦八苦しているのです。
「思い切って推しグッズのど真ん中に置いてみたりして」
それはどうしたら良いか迷った挙句の苦し紛れだった筈でした。
しかし、置いてみて俯瞰で見ると……
「あれ……何だかしっくりくる気がしますね」
そう、何故か推しの棚に飾った思い出の写真はしっくり来たのでした。
いえ……しっくり来ているのですが、何か違うような……
「私が……邪魔?」
推しグッズの中に写るユウちゃんとマオちゃんはしっくり来ています。
しかし、私だけが和を乱している……そんな気分になったのです。
「そう言えばお二人だけの写真もありましたね。
これをプリントしてみてっと」
私が1人で王様と写真を撮った時、お二人はご一緒に写真を撮っていました。
お互いの思い出だからと送り合って持っているので、そちらを飾ってみましょう。
そうして飾ってみると……
「おお……推しの生写真が飾られているみたいだっぺ」
不思議な事に全く違和感が無く、そこにあるのが自然とでも言っているくらいに存在感を出しています。
「本当に不思議ですね。
ユウちゃんとマオちゃんは全然似てないのにこんなにピンと来るなんて。
髪の色も顔も髪型も雰囲気も全然……あれ?」
ユウちゃんとユウちゃん。
マオちゃんとマオちゃん。
2人は髪色も髪型も同じで雰囲気も似てて名前も同じで……
私が何かに気付こうとした瞬間、目の前がバチっと光った気がしました。
「…………………あれ?私、何をしてたんでしたっけ」
何だか頭がぼーっとします。
目の前にある推しの棚を見ると、アクリルスタンドにキーホルダー。
カードダスやシャツ、それに生写真が飾られていました。
「何だか思い出せませんが大した事じゃないですね。
今日も一日よろしくお願いします!」
私は推しの棚に頭を下げて挨拶し、今日も元気に一日を頑張ろうと思うのでした。
そんなに簡単に認識阻害から逃れられません。




