今回は3人で夢の国 3
コーヒーカップの乗り物が最初に訪れた場所は、ヒロインが城の家来達から歓迎されて一人ぼっちだけど豪華な晩餐会を開かれるシーン……そう、私が一番好きな所から始まったのです。
燭台が彼女を歓迎し、あちこちから楽しげな歌やダンスが始まります。
そして、名場面である食器棚から飛び出した食器達のダンスまで再現されていて、ヒロインの心と同じように見ている私達も楽しげな雰囲気にさせてくれました。
そして、ここでやっと乗り物がコーヒーカップだった理由も分かりました。
このコーヒーカップはクルクルと回りつつ、左右が上下に浮き沈みを繰り返して揺れます。
それはまるで音楽に合わせてダンスを踊っているようでした。
晩餐会が終わってふと隣を見るとユウちゃんとマオちゃんもヒソヒソと何かを言い合っては感動している様子です。
こちらの視線に気付くとユウちゃんが顔を近づけてきました。
「こっちは気にしなくていいから世界観に入り込むといいよ!
その方が絶対にいい思い出になるから」
「……はい!」
お二人の気遣いに感動していると次のエリアに。
次は雪のエリアで獣になった王子が鳥と戯れ、ヒロインが外からそれを眺めているシーンでした。
2人が交互に歌いあげると初めて映画を観た時と同じような感動が蘇ってきます。
ここから2人の距離が近づいていくとなると……やはり次のエリアでは2人きりのダンスが終わってバルコニーにいるエリアになりましたね。
ダンスのシーンが飛ばされたのは残念ですが、尺というものがあるので仕方ないでしょう。
続いて城が襲撃されるシーンへと移り、ヒロインが父親を助けに行く降りは全面カットされています。
そう言えば今まで父親が出てきていないのでこれはそういう流れなのでしょうね。
考えたらヴィランの男も出てきていません。
それでも話は展開していき、獣の王子が倒れて死にかけている所でヒロインの愛が伝わり、王子が元の姿へと戻ります。
このシーンでは獣の王子の身体が宙へと浮かび上がり、人間の姿へと変わるのですがまるで手品を見ているような気分でした。
そうして元に戻った王子とヒロインが呪いの解けた家来に見守られながらダンスを踊ります。
この時もコーヒーカップはリズムに合わせて動き、まるで私達もこの舞踏会に招かれたような気分になりました。
こうして物語をダイジェストとはいえ堪能してゴールに辿り着いた私は感無量でした。
ユウちゃんとマオちゃんに手を引かれて何とか外に出てきましたが、この感動した心は中々収まってはくれないのでした。




