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モニターの向こうの貴方 3

「普通に面白かった」


「なんやかんやで見いちゃってたわね」


「……チャンネル登録しちゃった」


「チョッキさんはやはり面白いでありますな」


部屋の外で配信を見ていた4人であるが墓場チョッキの配信は予想以上に面白かった。


視聴者を飽きさせない軽快なトークに加えて、ホラーゲームのビビらせポイントで過剰な程にビビり散らかす芸は、お前は霊なのになんでそんなに怖いだよとリスナーと息を合わせてツッコんでしまった程であった。


視聴者からすれば幽霊型のアバターを使っているだけに見えるが、4人からすればチョッキは既に死んでいて霊になっているのが分かっているから尚更であろう。


「あの〜配信終わりましたのでどうぞだそうです」


先程会釈した霊が4人を呼びにきて部屋に戻ると、モニターの近くで如何にも真面目そうな眼鏡の男が立っていた。


「初めてお目にかかります。

私、墓場チョッキの中の人で渥美悟朗(故41)と申します」


『渥美悟朗(故41)』


そのあまりのインパクトに名前と享年を復唱してしまう4人。


「皆さんは霊媒師的な人達ですよね?」


「え、ああ……そうですね」


4人を代表してハナが答える。


これは事前に話し合っていて、如何にもその筋のような格好……シスター服を着ているハナが1番向いているだろうという結論からであった。


「私は貴方達のような人達が来るのを待っていました。

……先ずはこちらをご覧ください」


そう言って悟朗がモニターの画面を動かす。


出てきたのは銀行の口座とそこに蓄えられたお金であった。


「これは私が配信で稼いできたお金です。

それと、こちらがここ半年ほどの私の稼ぎのデータです」


そうして悟朗が出した数字は当然ながら気紛れで配信している4人よりも遥かに大きな数字を叩き出していた。


「これってもしかして…」


「ええ、今まで不法に滞在していた分も含めて多めに払いますのでこれでこの部屋を借り上げる事は出来ないでしょうか?」


「ええ……ちょっと待ってくださいね。

一旦上の方に確認しますので。

……もしもし、巫女さん。

ええっと……っていう事情なんだけど。

うん、うん……ええっと、すいません。

月でどれくらいまでなら出せますか?」


「本当は全部と言いたいところですが、機材環境なんかを整えるお金は残しておきたいので、半年の平均月収から考えてこれくらいでしょうか」


そこにはこのアパートの通常の家賃よりも大きな数字が提示されていた。


「あ、分かりました。

巫女さん、これくらいは払えるって……うん、嘘じゃないよ。

うんうん……分かった。

それで話してみるね。

……ごめんなさい、お待たせしました。

上に掛け合ったところ、家主の方に話を通してみるそうです。

少しだけお待ちください」


「そうですか、お手数おかけします」


そう言って申し訳なさそうに頭を下げる悟朗からは悪霊になりそうな気配など微塵も感じられなかった。


「あの……お待ちしている間に悟朗さんの話を聞かせてもらっていいですか?

どうしてこんな風に配信しているのかとか、そんな金額払ってまで部屋を借りたいのか」


「そうですね、皆さんに聞いてもらった方が良いのかもしれません」


そうして悟朗はなぜこのような事しているのかを語り始めたのであった。

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