モニターの向こうの貴方 2
「すいません、言いたいことは分かるのですが配信が終わるまでは待ってもらえませんか?」
4人にそう言ってきたのは配信画面の中から出てきた幽霊……の筈なのだが、何故かその姿は配信画面に映っている姿をしていた。
黒髪おかっぱの美少女なのだが、体には死装束を纏っており、頭には白い布……天冠を身につけている。
また、白い装束の上には赤いチョッキを着ているのが特徴的であった。
「貴方は……まさか、墓場チョッキさんでありますかな?」
「おや、私のことを知っていただけるとは光栄ですね」
「それはもう!
先日のホラゲー配信も最高でありました」
「まさかこんな所でファンの方に会えるとは思いませんでしたよ。
それで申し訳ないですが、暫く待っては頂けないですかね?」
「それは勿論でありますよ。
リスナーの方を待たせるのは良くないでありますからな」
「ありがとうございます。
それでは後程……」
そう言って墓場チョッキはパソコンの中へと吸い込まれていき、再び配信を再開し始めた。
「バド、あの人知ってるの?」
「小生達も配信を始めてから色々観るようになったでありますからな。
あの人は墓場チョッキさんと言うホラーゲーム専門の配信者でありますよ。
普段着ているチョッキと、配信終了時に墓場に直帰するとかけていたのでありますが……本当に幽霊だとは思わんでありましたな」
「幽霊が配信って、と言いたい所だけど電子製品にちょっかい出すのなんて得意分野なのよね。
これも時代なのかしら」
「……周りの霊も大人しい」
新たな携帯の心霊現象に時代を感じるハナ。
そんな彼女らに対して周りの警戒を怠らなかったルナが呟く。
ルナの言葉に辺りを見渡すと、確かにぽつりぽつりと霊の姿を見るのだが、全員が大人しく墓場チョッキの配信を観ているようである。
「後で話をしてくれるって言うし少し待とうか。
邪魔しちゃ悪いし外で配信でも観てみる?」
「スマホで検索したけど本当に配信やってるわね。
とりあえずはこれを観て終わったのを確認してからまた入りましょう。
すいません、また後で来ますね」
ハナが近くの霊にそう言うと、その霊もぺこりと頭を下げる。
「……悪霊の感じは全然しない」
「チョッキさんのリスナーはよく教育されているでありますからなぁ。
とりあえずは今日の配信を楽しむとするでありますよ」
こうして一風変わった霊障に出会った4人はとりあえず外で配信を確認する事にしたのであった。




