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芹口響子の上京記録 1

記念すべき1000話です。

「ふおおおおお、ここが大都会……東京」


新幹線から東京駅に降り立った私の名前は折口響子。


多分普通の人は絶対に知らないような田舎から上京してきました。


興味はあったけれども都会は怖いところ……そう思って上京に二の足を踏んでいたのですが、ある事を切っ掛けに上京を目指す事にしたのです。


その切っ掛けとは今話題の動画配信です。


最近は田舎でもネットは通じています。


面白いテレビ番組も多くない中で楽しみといえば動画配信サービスになるわけです。


そして、私が一番好きな配信者はユウちゃんとマオちゃんと言うVと呼ばれる2人ですね。


Vとは生身ではなく、アニメのキャラを使って動画配信をしている人の事を言います。


私の推しであるユウちゃんとマオちゃんは、その名前通りに異世界からこの世界にやってきた勇者と魔王という設定のキャラクターでした。


彼女達はこの世界で偶々出会った、彼女達が所属する会社、くじよじの社長と知り合い、動画配信をしてお金を稼ぎながら生活をする事にしたという話だったのです。


もちろん配信を観ている私達は実際にはそんな事は無く、普通の人が与えられた設定をこなしているというのは理解しています。


中には素の部分が出過ぎて初期の設定が無くなってしまう人達も珍しくありません。


そんな中でこの2人は初期の頃は異世界の話をしつつも現代の文化に慣れていくという形をとり、段々とこちらの世界に慣れていった事で中の人達の素のキャラに近づけていくという手法で、設定を活かしつつも無理なくキャラ変をしていきました。


そんな徹底したプロ意識の甲斐もあってか、配信を観ているリスナーも彼女達が異世界から来たと受け入れて、あたかもそれが本当にあるように反応する事が多くなりました。


私もそんなリスナーの1人なのです。


2人の異世界の話を本当に信じているわけではありません。


でも、もしも、本当に異世界からやってきて東京で暮らしているのだとしたら。


それは私が上京して東京で暮らすよりも遥かに難易度が高くて難しい事だったのでは無いかと思います。


そうやって思考を変えたら私でも出来るんじゃないか?


暫く頑張れば都会暮しに慣れてくるんじゃないか?


そんな風に思えるようになってこの度上京してきたわけです……わけですが……


「こっから何処に行けばいいぺっさ!?」


初めて降り立った東京駅の中は本当に駅内なのかと言いたくなるほどに広く、早々に私は迷子になったのでした。

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