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女勇者として召喚されたけど、やる気がないので魔王の娘に聖剣と○○をあげました。  作者: なよ
第一章、女勇者レイナと魔王の娘エクレアの日常
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白炎のメリジューヌ2

 私が急いでレプリカントを持って再び屋上へ行くと、エクレアは一切手を出さず、ひたすらメリジューヌさんの攻撃を躱しているところだった。


「エクレアー」


 レプリカントを掲げると、エクレアが笑顔を見せた。


「おお、ありがとうなのじゃ。そのまま投げて欲しいのじゃ」


 ええっ、投げるの? 絶対届かない気がするけど。でも、エクレアがこっちに来るわけにもいかないし。うー、仕方ないか。届かなくても、エクレアがなんとかしてくれるだろう。


 エクレア共々、メリジューヌさんまでこちらに来てしまうよりもいいだろう。


「じゃあ、行くわよっ」


 まったく自信はないけど、レプリカントを両手で持ち上げて、全力で放り投げた。


 エクレアの所へ届く以前に、そのまま屋上に落ちそう、とか思っていたのだけど――


「うむ、レイナから貰った剣はやはり手に馴染むのう」


 あ、あれ? なんか届いちゃったのかしら。


 レプリカントは上空にいるエクレアのところへちゃんと飛んで行ってくれたようで。エクレアが鞘からスラリと剣を引き抜いていた。


 なんかいい角度で投げれちゃったのかしら。


 まあ、ちゃんと届いたのならそれでオッケーね。


「さて、ここからが本番じゃ」


 エクレアがニヤリと笑みを浮かべる。


「そ、それはなんだっ。なんかヤバイ魔力を感じるぞ」


 メリジューヌさんがレプリカントを見て悲鳴のような声を上げた。


 そりゃそうだろう。一応レプリカとはいえ聖女の加護とかいうのも受けているらしいし、なにより勇者が使うような武器をエクレアが持っていたらビックリするに決まっている。


「これか? これはとてもいいものじゃ。未だ生物を斬ったことはないが、ちょうど良い機会じゃ。蛇竜(じゃりゅう)の鱗を斬れるか試してみようぞ」


 フッ、とエクレアが目にも留まらぬ速度で剣を振った。――瞬間、メリジューヌさんの頬に赤い筋が浮かび上がった。レプリカントの切っ先がメリジューヌさんの肌を切り裂いたのだ。


「くっ」


 メリジューヌさんが慌てて距離を取る。


「ほう、なかなか良さそうじゃな。では、本気で行くのじゃっ」


 エクレアがメリジューヌさんを睨み付けると同時に、レプリカントがバチバチと雷光を纏い始めた。エクレアの雷撃が剣に宿っているんだ。


 聖なる力と雷撃の両方が宿り、剣が光り輝く。


「さあ、耐えてみせるのじゃ」


 エクレアがメリジューヌさんに襲い掛かる。


「くそっ、ならこっちも手加減は無しだっ」


「最初から手加減などしておらぬじゃろう」


 エクレアが剣を振る度に、空間が裂けるんじゃないかというほどの凄い音が鳴り響く。まるで雷そのものだ。ティアと戦ったときは雷撃すら使っていなかったし、全然本気じゃなかったのが良くわかる。


 エクレアは、深い傷を負わせるつもりはないようだけど、的確にメリジューヌさんの攻撃をかいくぐり、ダメージを与えていく。


「やはり、力の差は歴然じゃな」


「ええいっ、いつまでもアタシが負けっぱなしだと思ったら大間違いだっ。ああああああああああああああああああっ!」


 メリジューヌさんが吠えた。


「ほう、いい覚悟じゃ」


 メリジューヌさんの体から、白い炎が吹き出していた。それは、先ほどまでとは全く違う。炎を纏っているのではない。体の肌から――いや鱗の隙間から炎が吹き出していたのだ。


「があっ!」


 離れているこちらにまで熱量が伝わってくるような――今や、メリジューヌさんは白い炎の塊となっていた。傷口はもとより、目や口からも炎が吹き出しているようだ。


「面白いではないか」


 エクレアが不敵な笑みを浮かべる。


 しかし、先ほどまでの余裕は無いように見える。


 自爆技とも思えるメリジューヌさんの攻撃。


 それは、MLCの最大出力でエクレアが動けなくなったときのことを思い出させる。メリジューヌさんは、自身の力で限界まで到達したのだ。


 その威力はエクレアといえども軽視出来るものではないようだ。


 メリジューヌさんが爪を振る度に白い炎が吹き出し、恐るべきスピードで飛んで行く。それは地上の植物を焼き、あっという間に城が炎に包まれてしまった。


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