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真実を求めて③




 マルドゥナ卿が落ち着きを取り戻し、今度こそしっかりとフレミアの同行の許可を得ることができたところで、今日のところは帰ることにした。


「ではオルガス卿、うちの娘をよろしくお願いする」


「わかりました。フレミアは絶対に無事返して見せますから」


「それは頼もしい。いや、さすがはオルガス卿!」


「あの、俺はオルガス卿なんて呼ばれるような人間じゃありませんから」


 玄関まで見送りに来てくれたマルドゥナ卿の笑みに、じゃっかん引きながら答える。


 アラド卿もそうだが、なんというか地方貴族は貪欲というか、わかりやすいというか。とにかく慣れないのでやめて欲しい。


 そう思って言ったのだが、おや、と言う感じにマルドゥナ卿は首を傾げた。


「オルガス卿は貴族では?」


「いや、違いますよ。極々普通の平民です」


「そうだったか。私はてっきり、君はあのレクス・オルガス卿のご子息だとばかり」


「親父のことを知っているんですか!?」


 あまりにも意外すぎる名前を聞いて、思わず大声を出してしまった。


「ああ、やはりレクス・オルガス卿のご子息だったか。顔が似ているのですぐに気付きましたよ」


「お父様はライのお父様のことを知っているの?」


 フレミアが興味深そうに尋ねる。

 リカさんも長い耳をぴくぴくと動かしてそばだてている。


 マルドゥナ卿はどうしてそんなにも注目されているかわからない様子で、


「君のお父上、かの漆黒の騎士たちの隊長であった先代のオルガス卿には、先の戦争で危ないところを何度も助けられてね。戦後、お礼を直接言うために探したことがあった。残念ながら先代のオルガス卿は戦争で命を落とされてしまったため、奥方に礼を伝えることしかできなかったが」


「そうだったんですか。俺の親父が漆黒の騎士たちの隊長って、そんな話初めて聞いたな」


 漆黒の騎士と聞いて思い出すのは、俺の監視をしていた黒騎士だ。親父も白い甲冑ではなく、あの黒甲冑を身につけていたのか。


「けどそれと俺が貴族だと思ったことになんの関係が? 騎士に与えられる騎士候って一代かぎりだから、息子の俺には関係ないはずですけど」


「いや、先代のオルガス卿は戦争での功績を称えられて、死後に爵位を与えられていたはずだ」


「爵位を?」


「間違いなく。だが貴族ではないというのなら、恐らくは奥方が爵位を受け取らなかったか捨てたのだろう。私が会ったときの夫人は夫を亡くし、さらには生まれた子も身体が弱く先が長くないと宣告されていたとのことで、酷く憔悴されていた。貴族たちの面倒事には巻き込まれたくなかったのだろう」


 それも初めて聞いた事実だった。親父が戦争で爵位をもらえるような功績を立てていたことも、俺が生まれたときには命の危険があったことも、母さんはなにも教えてくれなかった。


「まあ、ご覧のとおり、子供は先代のオルガス卿に似て勇猛果敢に育ったわけだが。君ならば爵位もきっと自分の力で取れるはず。ところで付き合っている女性などはいないのか? 君の父親には世話になったわけだし、ここは私が相手を世話をしてあげても構わないのだが。そうだな、たとえばうちの娘などどうだろう?」


「もう、お父様。やめてったら!」


 フレミアは恥ずかしそうに父親の服の袖を引っ張りつつ、もう片方の手を元気よく振った。


「じゃあね、ライ! リカリアーナ! すぐに旅の支度をして二人の泊まってる宿に行くから!」


「こら、フレミア。まだ私の話は終わって――」


「もー!」


 フレミアが父親の背中を家の中へと押していって、玄関の扉を乱暴に閉めた。さすがはあのフレミアの父親というところか。なかなかに個性的な人物である。


「しかし、まさかフレミアのお父さんと俺の親父が知り合いだったとはな」


「レクス・オルガス卿。話を聞くに、立派な騎士だったようですね」


「そうみたいだな。と言っても、親父のことはほとんど知らないんだけど」


「たしかライさんが生まれる前に亡くなられたのでしたね」


「ああ。だから俺が知ってることといえば、親父が騎士だったっていうことだけだ。どんな活躍をしたとか、そういうのは一切母さんは教えてくれなかった」


「黒い騎士たちの隊長だったとマルドゥナ卿は言っていましたが、どういうことでしょうか? 基本的に騎士団の人間は白い甲冑を纏っているはずなのですが。ライさんの昔話にも、たしか同じく黒い甲冑の騎士が出てきましたが、我々が知らないだけで騎士団には黒騎士たちが在籍しているのでしょうか」


「少し気になるな。グィンゲッツに聞いてみるか」


 俺たちはディザスターを倒したあとに滞在している宿に戻った。


 グィンゲッツはちょうど部屋ではなく、宿の食堂の方でくつろいでいた。隣ではルゥナがせかせかとグィンゲッツのためにお茶やお茶菓子を用意している。


「よう、グィンゲッツ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」


「なんだ?」


 訝しげな顔をするグィンゲッツに、黒い騎士たちのことを聞いてみた。同じ騎士団の人間であるグィンゲッツならば当然知っているだろう。


 だがグィンゲッツはますます眉をひそめた。


「黒騎士か。そんな者たちは騎士団にはいないぞ」


「本当か? 俺の親父が黒い甲冑を身につけて騎士団に在籍していたって、マルドゥナ卿から聞いたんだが」


「それは何年前の話だ? 少なくとも、オレが騎士となった二年前には騎士団に黒騎士なんて連中はいなかった」


 グィンゲッツは無駄に優雅に紅茶の入ったカップを傾けながら、


「……まあ、かつてそういう輩がいた、という噂は聞いたことがあるがな」


「どういうことだ?」


「詳しくは知らん。先輩たちもあまり話したがらなかったからな」


 そう前置きした上でグィンゲッツが教えてくれたのは、戦時下に陛下の勅令によってかき集められた騎士たちの話だった。実力はあってもなにかしらの事情があって騎士にはなれなかった者たちを、特例で騎士として戦争に投入したのだという。


 白い甲冑の生産が間に合わず、彼らにはグレードのわずかに落ちる黒い甲冑が与えられた。そしてそれがいつしか彼らの象徴となったという話だ。


「曰く、咎の黒騎士。華々しい成果とは裏腹に、黒騎士たちは周囲の貴族たちからも、同じ騎士たちからもあまりよく思われてなかったらしい。噂では秘密裏に存在が抹消されたとも、全員が騎士団を抜けて別の組織に入ったとも言われている」


「そうなのか」


 もしかしたら俺の親父は咎持ちだったのかも知れない。だからといって別にどうこう思ったりはしなかった。ただ、知らなかった事実にまた少し驚いただけだ。


 俺の監視をしていたあの黒騎士もまた、咎持ちだったのだろうか。騎士なのに騎士らしくないのは、周りから称賛されることがなかったからなのかも知れない。


 もっと話をしておけば良かった。そう思う。


 もういなくなってしまって、二度と話すことのできない人にかぎって、俺はよくそう思うのだ。


「オルガス。黒騎士たちのことが気になるのなら、オレが調べておいてやってもいいが?」


 少しだけ昔を思い出していると、グィンゲッツがそんなことを言い出した。


「どうした? 変なものでも拾い食いしたのか?」


「はっ倒すぞ貴様!」


「冗談だよ。けどお前が俺のために行動してくれるなんて、どういう風の吹き回しなんだ?」


「別にただの気まぐれだ。それにそう難しいことでもない。皆、話題を避けているだけで、長く騎士団にいる先輩ならば知っていることだろうからな。これまでそんなこと気にもならなかったから詳しく聞いたことはなかったが、聞けば教えてくれるだろう」


「それなら頼めるか? ちょっと気になるからな」


「ああ、わかった。『黄金の雄鳥亭』だったか? 分かり次第、そっちに情報を回しておいてやる」


「ありがとな」


「ふんっ」


 グィンゲッツは鼻を鳴らしてそっぽを向いた。心なしかその頬が赤くなっている。


「勘違いするなよ。あくまでもこれは気まぐれでしかないんだからな?」


「はいはい」


「貴様、本当にわかってるのか? 本当にただの気まぐれだ。あるいは……」


 グィンゲッツは急に真顔になると、俺の方を見て言った。


「……オルガス。貴様、騎士になりたいと言っていたが、それは貴様が思っているよりもずっと難しいぞ?」


 それは前のような否定の言葉とは違った。どちらかと言うと、俺のことを心配するような言い方だった。


「貴様はたしかに強い。功績も前回のヒュドラと今回のティタノマキア、ディザスター討伐で、騎士団から冒険者ギルドに誘いが行くには十分すぎるほどだ。普通なら、貴様は今すぐにでも騎士になれるだろう」


「普通なら、か」


 俺には縁遠い評価だ。


「俺はステータス画面が読めない」


「そうだ。貴様はステータス画面が読めない。それはつまり貴様を高く評価するということは、これまで我々が築き上げてきたステータス至上主義という在り方を否定するということだ。優れたスキル、高いランク、それを誇りとしてきた貴族たちが、こぞって貴様の騎士団入りを邪魔するのが目に見えている」


「…………」


「オレはもう今更貴様をどうこう言うつもりはないが、それが現実だ。どうしようもないこの世界の在り方だ」


 ステータス至上主義。フィリーア教によって作られた、この世界の在り方。


 だから――


「ライ・オルガス。貴様が騎士になるには、そんな奴らの目の前でお前の力を見せつけるしかない」


 俺が騎士になるには、そんな世界の在り方すらも塗り替える偉業が必要なのだ。


「一番現実的なのは、来年開かれる武芸大会にでも出場して優勝することだろう。本来はレベル制限を満たせない貴様は出場できないが、それくらいなら今の貴様が積み上げてきた功績だけでどうにかなるだろうさ。あるいは、まあ王都に『大剣聖』様がいるかぎりあり得ないことではあるが」


 グィンゲッツは肩をすくめて続けた。


「王都を壊滅しかねない危機を救ったとなれば、貴族たちも黙るしかない。貴様は晴れて騎士になれるだろうさ」


 逆を言えば、それくらい難しいということだ。

 わかっていたことではあるが、そう簡単には騎士にはなれないらしい。


 けどまあ、今はドラゴンである。


「グィンゲッツ。色々と俺のことを心配して考えてくれてるところ悪いが」


「ば、馬鹿言え! 貴様のことなどこれっぽっちも心配してないわ! 惨い現実を突きつけているだけだ! なあ、ルゥナ!?」


 赤い顔で突然話題を振られたルゥナは、くすくすと笑って「そうですねー」と頷いた。


「はいはい、そうだな。お前は俺のこと大嫌いだからな」


「そうだとも!」


「なら俺も遠慮なく迷惑をかけられるってもんだ。グィンゲッツ、悪いが俺の代わりにお前が一人で王都に戻って、色々と今回の件を報告してくれないか?」


「なぜだ? 今回の件を持ち帰れば、陛下に面通りも叶うかも知れないぞ?」


「それは惜しいが、俺はリカさんと一緒にこのまま帝国に向かおうと思うんだ。そこにあるリカさんの故郷に用があってな」


「リスティマイヤの? そうか……そういうことならば仕方あるまい」


 グィンゲッツは俺と少し離れたところにいたリカさんの顔を交互に見て、なぜか多くを伝えていないにもかかわらず納得した様子で引き下がった。


「いいだろう。王都にはオレとルゥナだけで戻る」


「あとミリエッタも一緒に連れて行ってくれ。護衛の冒険者がいなくて帰れないみたいなんだ」


「任せておくがいい!」


 喜び勇んでグィンゲッツは立ち上がった。


「そうと決まれば、すぐにでも立つとしよう。おい、ルゥナ! 帰り支度だ! オレはミリエッタさんを呼びに行ってくるから、戻ってくるまでにしておけよ!」


「あ、坊ちゃま! いくらなんでも今すぐというのは!」


 ふははははっ! と笑いながらグィンゲッツは廊下の向こうに走り去っていってしまった。今回のディザスター退治でなにかが変わったように見えたが、うん、気のせいだったようである。


「ルゥナ。悪いが、あいつがミリエッタに変なことしないように見張っててくれるか?」


「かしこまりました。わたくしにお任せ下さいませ!」


 ルゥナは胸を叩いて請け負ってくれると、グィンゲッツを追いかけて食堂を出て行った。


「ライさん、本当にミリエッタさんをグィンゲッツさんに任せてよかったのですか?」


 リカさんが気遣ってくれるが、それは杞憂というものだ。


「大丈夫だよ。俺はルゥナのことを信頼してるからな」


 俺も馬鹿ではないのだ。すでに気が付いている。


「さすがにあの二人を見ていれば、ルゥナがグィンゲッツのことをどう思ってるかくらいはわかるさ」


「はあ。つまり?」


「自分の好きな相手が、他の女の子に言い寄ろうとしてるんだ。それは絶対に止めてくれるってもんだろ。自信がある。俺の目は節穴じゃないぜ」


「いえ、ライさんの目は大概節穴だと思いますが」


 すごく酷いことをさらりと言われた。


「え? けどルゥナってグィンゲッツのこと好きだよな? な?」


「そうですね。好意は寄せていると思います。ですが、男女のそれではないと思いますよ。どちらかというと、家族愛のそれだと思います」


 リカさんは静かな口調に自信をたっぷりと込めて言った。


「たしかになにも知らなければ、男女のそれと勘違いしてしまうかも知れないくらい、ルゥナさんはグィンゲッツさんのことが大好きなようですが」


「どういうことだ?」


「私には鑑定スキルがありますので、ルゥナさんの本当の名前が見えているのです。たとえ偽名を使っても、自分のステータスに刻まれた名前までは誤魔化せませんので」


「え? えっ? どういうこと? ルゥナって偽名を使ってるのか?」


「すみません。勝手に盗み見た私の言えた義理ではありませんが、これ以上は控えさせていただきます。隠していることをばらしては、ルゥナさんに申し訳がありませんので」


「気にはなるけど、リカさんがそう言うなら考えないようにしとく」


「なにが?」


「うぉっ!?」


 そのとき後ろから突然フレミアが抱きついてきて、横から俺の顔を覗き込んできた。


「フレミア。いつの間に。もう準備が終わったのか?」


「まあね。あたしにはこの帽子とローブがあればそれ以外はなにも要らないわ!」


 黒いとんがり帽子を装備したフレミアが、黒いローブの裾を翻してびしりとポーズを決める。


「それよりもなんの話をしてたの? 鑑定スキルがどうこう、ステータスの名前がどうこう言ってたけど、マルドゥナであるあたしももちろん鑑定スキルには一過言あるわよ!」


 聞きたい? 聞きたいわよね? と言うような顔で見つめてくるフレミア。


 俺とリカさんは顔を見合わせて苦笑する。


「ああ、そうだな。是非聞きたいな」


「そうですね。是非ご教授下さい」


「そこまで言われたら仕方ないわね! 鑑定スキルは世界の真実を見つめるスキルだって豪語するおばあさまから教えてもらった、とってもいいことを教えてあげるわ!」


 フレミアは得意気な顔で嬉々として話し出す。


「あのね、あのね、ステータスに刻まれている名前はね、実は生まれて最初に呼ばれるようになった名前が刻まれるわけじゃないの。多くの人が最初に呼ばれる名前がそうだから、それがステータスにそのまま刻まれてるだけで、実際は名前が刻まれるのには必要不可欠な要素があるの」


「必要不可欠な要素? それってなんなんだ?」


「愛よ!」


 俺の問いかけに、フレミアはきっと教えてもらったときのおばあさまを前にするように、人差し指を立ててにっこりと笑って言った。


「愛を込めて呼ばれた最初の名前が、その人のステータスに刻まれる名前になるの。愛がなければ、どんなに呼んでもダメなのよ。逆に愛があれば、どれだけしがらみあったって、それがその子の名前になるの」


 たとえば。


 たとえば生まれすぐに捨てられたとする。


 その捨てた親が、適当にその子に名前をつけていたとする。けれど、その名前はその子のステータスには刻まれない。捨てられた先で拾ってくれた優しい人が、悩んで、悩んで、悩んだ結果つけた名前の方が、その子のステータス画面の名前として刻まれるのだ。


 逆に生まれてすぐに捨てられたとしても。


 色々な理由があって、しがらみがあって、自分の手元では育てられない。手放さないといけない。けれど、そこにたしかな愛があれば、その親がつけたその子の名前がその子のステータスには刻まれる。たしかな絆として、いつかこの手に取り戻すための証として、そのステータスにその名前は刻まれるのだ。


「さらに言うと、愛があれば熟練度を一〇〇〇まで上げなくても、本来不変のはずのステータスを変化させることができるのよ」


 レベルや経験値、能力値の数字。これは後天的に変化、成長する。

 スキルも熟練度も上げていけば、ボーナススキルという形でさらなる変化をもたらす。


 だが変化するのは通常それだけ。それ以外の変化、つまりはランクの変化といった後天的変化は、熟練度を一〇〇〇に達するといった、所謂超越と呼ばれるような規格外の努力研鑽を要求する。


 けれど実はもうひとつ、それ以外でステータスを後天的に変化させる術は存在するのだ。


「男女が神様の前で愛を誓い合うの。そこにたしかな愛があれば、どちらかの名前が変わるのよ」


 だから結婚の儀式はフィリーア教でも特に神聖視されているのだ。


 それは誰もが知っている事実。けれどよくよく考えてみれば、とてもすごいことなのだ。


「おばあさまは言ってたわ。ステータスは時間と共に成長し、努力することで進化して、そして愛によって姿を変えるものだって」


 だからフィリーア教は、ステータスは神の愛で出来ていると言う。


 そしてフレミアもまた、これは素敵なことなのだと笑った。


「だからね、ライ。変わり続けるライのステータスは、もしかしたら誰よりもたくさんの愛で出来ているのかも知れないわ」


「俺のこの読めないステータスが?」


「そう! 神様だけじゃなくて、もっともっと多くの人の、すごくすごくたくさんの愛で出来てるの!」


 ああ、そうだったらいいな、と俺は思った。


 読めない俺のステータスには神様の愛はないのかも知れない。

 それでも、他の誰かが俺を愛してくれた証がそこに刻まれているのなら、フレミアの言うとおりそれはとても素敵なことだ。


 少なくとも、ひとつだけたしかなことはある。

 読めない俺のステータスの中で、これだけは絶対にわかっていることがある。


 いつの日か、俺のステータスが読める日が来たとして――その最初にはきっと、ライ・オルガスという名前が刻まれているのだろう。


 ……同時に、ふと思った。


 ステータスの変化は愛の証。だというのなら、この世界にはたった一人だけ、他とは異なる形でそのステータスのスキルが変化する者がいる。


『聖女』――システィナが受け継いだ、救世主のスキル。


 受け継がれゆくその名は、果たして、一体誰の愛によって出来ているのだろうか?





次回、別視点。


また、この作品を書籍化させて頂くことと相成りました。

詳しくは活動報告で。

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