086 武術への扉を開いて、そっ閉じしてしまった人の話
武術への『扉』を開けて、
そっ閉じしてしまった人の話。
以前に『武術』の扉を開けたA先輩の話をした。
さてさて、
実は他には、一時期『扉』を開いて、
暫くしたら、せっかく開いたその扉を『そっ閉じ』してしまった人もいる。
同期で入門したUさんと、
実はこの私も(笑)
取り敢えず、Uさんの方について書いておく。
Uさんの切っ掛けは簡単。
幾らやっても師匠から『好』がもらえなかったUさん。
(『好』は中国語でハオと言う、武術で上手く出来たら師匠はそう言う、出来なければ『不好』つまりプーハオと言う)
その時に、Uさんは習うのを諦めた。
(‥‥仕方ない。言われた事だけを何も加工せずにやろう‥‥)
次の瞬間、師匠から『好』が出たのだと言う。
Uさんの当時の見解では、
「ただ自分で考える事を辞めた、
そうすると脳みそに余裕が出来て、その空き領域に師匠の教えが入ってきたのだと思う」
との事。
暫くその状態が続く。
その時は確かにUさんは師匠の言った言葉通りに動けており、
発生させた勁を相手に『注入』する事も、
言われた通りに出来ていた。
因みに、
体重を使って押そうとすると、
勁は入らない。
力を使って押し込めようとしても失敗する。
(私はこちらになってしまう)
どうやるか聞いてみると、
U「わらび餅を机に置いて、
爪楊枝の先端で押してわらび餅を動かす様な使い方、
力を入れたら爪楊枝は刺さってしまい、
動かすことは出来ない。
微妙な力の入れ方が必要」
との事。
師匠的にも、その説明で『好』。
師匠の説明は、
「勁を拳まで伝えたら、拳を強く握り潰す程に力を入れる。
歯磨きチューブからニュルンと歯磨き粉が出て行くように勁が自然に出て相手に伝わる」
との事。
興味深いのはUさんの説明。
『わらび餅を爪楊枝の先っぽで刺さらない様に押して動かす感じ』
の説明きちんと『好』が出る事。
そしてもう一つ、
Uさんは練習会の途中で、良く脳味噌の容量が一杯になってしまって、
道場の端っこに座り込んで、
脳のクーリングダウンをしていた事。
ただ座って、
余計な事を考えない様にしていた。
残念な事に、
2〜3ヵ月程で、
その状態は終わりを迎えた。
思考方法も元に戻って、
出来なくってしまい、
出来ていた時の事を思い出せなくなっていた。
発する言葉も、
『武術の扉を開いた』人のそれになっていたのに残念。
因みに私は、
以前書いた、
「入力情報を増やす練習」
をしていた時に、
師匠からの指導の入力できる情報量が増えて、
師匠の指導をかなり良く受け取れていた『模様』
『模様』と書いたのは、
今現在、閉じてしまった状態に置いて、
開いていた時との違いが、
自分では分からない為。




