048 気のせい? その5
気のせい? その5
いや、そもそもが私に武術自体が合わないかも知れない。
そっちの感覚が絶望的に悪いのだ。
関節技を喰らっても、
幾つかの技については、
痛くない。
武術的に化物と言える師匠。
特に聴勁については師匠は神懸かり並の精度を持っているが、
その師匠が
「あとちょっとで折れるよ」
と調節した関節技に痛みが無かったのである。
痛みは無いが『関節が折れそうなヤバイ感覚』はする。
皆んなは痛いと言うレベルの関節技が痛くない。
これは割と致命的。
逃げたりギブアップするのが遅れて大怪我をしかねない。
あとは、A道のS師範がやった有名な足の親指で、相手の足の甲を押さえる技、
それを師匠が『纏絲勁』で再現してみた技も、
他の生徒は痛がっていたが、
私は痛くなかった。
但し、全身が渦巻き状に歪んで傾いていて(自覚症状なし)
皆んなから笑われた。
たかだか『市販の水鉄砲の中古品』に入っていた前持ち主の執念程度で
武術が数段階クラスで下手になるなど、
実戦で使えるかと言うレベルである。
リサイクルショップをまわるのが好きな私にとって、
中古品を買って調子が悪くなると言うのは、
本当に絶望的である。
因みに一番最初に入門した時に師匠が私を見て思ったのが、
『これは駄目だ、すぐ辞めるだろ』
だったそうである。
それが今や最古参の生徒の一人と言うのが何とも‥‥




