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武術覚書  作者: asada11112
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151 マインド・意念−①、精神論では無く脳のコマンドの操作技法

151 マインド・意念−①、精神論では無く脳のコマンドの操作技法


師匠が『こうだ!』と動きを見せる。

私は『こうですか?』と真似をしようとする。


出来ない。


何度も何度も繰り返す、

出来ない。

師匠から『不好プーハオ』しか出ない。


師匠がどう言う動きをしているのかわからない。


師匠「何を言っているんだ?、動きはお前のものと毛ほどの違いも無いぞ!」

私「えっ?」


師匠「意識が違っている、俺が言った注意点を守っていない」


‥‥‥???????


現在、日本の古武術界隈(日本の中国武術も含む)は、

身体操作論が主流である。


古武術の達人が残した不思議なエピソード、

柔術の達人や軽身功の達人が、

部屋の中を縦に一周してのけたり、

軽く触れただけで相手を昏倒させたり、


その古の失われた技を身体操作論から再現を試みている。


対して師匠は、

師匠「それは陰陽で言うところの『陽の方法論』だ。

俺が教えるのは『陰の方法論』だ。

どちらが良い悪いでは無く、

俺がたまたまそっちを教えている人間だって言う話。

だから俺に習っているお前らはこの方法論で習得しなければならない」

と言う。


過去の達人の流派が行う技の『伝え方』

師匠の動く通りに動け、

師匠の言った通りに動け、

そして、その師匠が言う内容、見せる技のは、

まるで禅問答の様に、

聞いた人間が首を捻る難解さ。


しかし、師匠はそれを、

『具体的な方法論だ』と断言して、

生徒に、

「言った通りにやれ!」

と言う。


今までは、全く意味がわからなかった。

しかし結構最近から師匠がそれをわかる様に説明し出した。


身体操作論と陰陽の関係に位置する脳コマンド操作論。

それをちゃんと現代日本にも行なっている武術家がいるとの事、


一体誰かと言えば、

居合術のM I師範だと言う事。

師範は、実際に日本刀で物を斬って見せて、

多数の居合ギネス記録を持っている。


師匠「彼は身体操作論を突き詰めているのではない、

彼が突き詰めているのは、日本刀の操作論だ」


との事、

彼は、如何にして刀を早く抜き、

如何にして相手よりも早く刀を相手の身体に到達させ、

如何にして素早く斬ってしまうかと言う事に全ての神経を使っているとの事。


‥‥‥よくわからない。


師匠は、練習用の短棒を持ってきた。

その片方の端を師匠は掴み、

私に反対側を掴む様に指示する。


師匠が棒を軽く引くと、

私は軽くつんのめってしまう。

軽く、である。


師匠「棒を動かせ」

私が棒を引いてみると、

思いっきりやっても、

師匠は全く動かない。


師匠「お前のやり方はまず自分の手を動かして、

その結果で棒が動いている。

棒を動かすのに、

脳味噌がワンクッション余分なコマンドを発している。

それでは相手は動かない、

身体の動かし方は全て脳から捨てろ、

棒をだけをダイレクトに動かす脳のコマンドを作れ。」


ただ棒を持って引くだけーーー

それが出来るまでおよそ1時間半を要した。


脳の持っている、リソースのほぼ全てを、

ただ棒を持って引くと言う事だけに割り当て、


ようやく最後の方に出来る様になってきた。

(因みに次の練習会では駄目になっていた)


で、である。

師匠は一体M I師範の何を見て、

脳コマンド操作論と断じたのだろうか?、


一つに、道具の扱い方


中国拳法は、武器術がその源泉にあると師匠は仮定して研究を続けている。

(142 門派と武器のマッチングを参照の事)


で、武器術は『武器を大切に扱う』事が重要とされる。

改めて言うが、

自分の身体を動かした結果で武器を動かしては駄目なのである。


自分の身体操作を意識から捨て、

武器を脳で直接に動かさなくてはならない。


その時、自分の身体とは別に、

武器自体が、

まるで意思持った別の生き物の様に動くのである。


それが日本武術でも、中国武術でも奥義とされる、

『自然な動き』になるのである。


相手と自分が戦った時は、

より自然な者が勝つ様にこの世界は出来ている、

そう言った『世界の掟』が厳然と存在する。


漫画『拳児』9巻、第7話「地球の力」で

蘇崑崙の発言。

「人間性を高めて宇宙と一体になるためだ。

 最高の拳法は、その動作の中に宇宙の法則を表している

 つまり、正しく体得することは、宇宙と一体になることだ。」


続く。

(書いていて頭痛くなってきた)


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― 新着の感想 ―
[一言] 武器の使い方に近いのは、食事時の箸や文字を書く時のペンの使い方ですかね。 箸やペンの動かし方をいちいち考えながら使うんじゃなくて、食べ物を掴んだり文字を書くとだけ考えて、箸先ペン先を意識する…
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