143 八極拳の習得システムにおける考察
李書文の孫に当たる李志成師範の八極大架(大八極)の動画を、
中国の動画サイトで見つけて見つけてアップした。
英語で李書文に子供はいないんじゃないかと指摘されるも、
こちらは英語が不得手で答えようが無い。
李志成師範の小架は普通の小架と比べてかなりの改変が施されていたが、
大架式の方は、他の流派のとほぼ同じ形のものであった。
李志成師範は、八極拳を父より教えてもらう時、
最初に大架式から習ったと言う。
この話になったとき、ある方より、
「八極拳を習う套路の順番には異説が有って、普通は、1小架、2大架、3六大開
の順だが、異説のほうは、1大架、2六大開、3小架、なんだ。」
という話を伺った。
また、別の方より、
「B壇では、大八極は他人に見せても、小八極は絶対に見せるな。と言われている」
と聞かされたことが有る。
李大忠系八極拳(羅瞳李家系)では、八大招式について、
(八大招式=八極拳に置ける最終奥義?で、実戦の切り札)
『八大招とは実は小架の使用法だった』
というのが、中国のサイトで紹介してあった。
羅瞳李家(李大忠系)八極拳の、八大招式(八招)の拳譜は、
一:霸王請客(小架の初めから第一回目の頂肘の部分)
二:二郎捆人(小架の黒虎偸心の部分)
三:閻王三點手(小架では二度目の抜き手の部分、武壇では小纏の前の拗歩捶の部分)
四:白蛇吐信(小架の探掌寸捶や合手の部分、抜き手技)
五:金剛伏虎(小架の托槍式、撞掌、抱肘、武壇では纏絲崩捶の部分)
六:旱地撐船(跪膝の予備動作、武壇では省略)
七:順手撥簧(小纏抱拳捶の部分)
八:霸王頂門(小架の通背式の部分)
武術の世界では、最初の基礎の套路が実は最後の奥伝の技でっあたるというのは、
ホラー映画においてオチがついた後、不安なシーンのヒトコマが最後に有るが如く、
「お約束」な流れらしい。
B壇八極でも最後の技である八大式は、霍式八極の基礎の「金剛八式」だったりする。
当然、金剛八式が基礎として採用される以前の八極拳では、
小架の技が、奥伝の技だったのだろう。
つまり創世記の八極拳は、
1:小八極・あるいは単式として八大招=分解小八極
(奥伝を見られたくない場合は略す)
2:大八極(別名『八極拳or八極対接』)
(小八極=八大招を見せたくない場合はここから教える)
3:六大開
4:八大招式(あるいは八大招連環拳として小八極そのものを教える)
という形だったと考えられる。
現在の八極拳は、金剛八式が増えたことで、
一番最初と一番最後の二つが増えたことになる。
1:金剛八式
(B壇では最後の奥伝、八大式の事)
2:小八極
(八大招式と同じため、教えない場合あり)
3:大八極
(一番よく目にする套路になる)
4:六大開
5:六肘頭
(長春では八大招から枝分かれした肘技)
(孟村では対打であり、同じものがB壇では排打功になっている)
(B壇の排打功は、螳螂拳の架打を対打に直した形に近い)
6:八大招
(B壇では長春の基本である金剛八式)
(長春では、肘技が六肘頭へ移動し、新しい技が増えた事になる)
追記
師匠から面白い話を聞いた。
師匠「八極拳は近接戦闘の技というのは間違いなのかもしれない」
との事。
元々、八極拳は槍の武術から派生したもの。
槍は遠隔戦闘の技術である、
素手になった槍が八極拳の戦闘技術なら‥‥
と言う訳であるが、
其処から先は私ではわからない。
申し訳無いが、『投げっぱなしな問題提起』である。




