119 武術のロマン技②ー界王拳
武術のロマン技 ②ー界王拳
果たして、武術にロマン技は有った。
漫画『ドラゴンボール』に出て来たロマン技『界王拳』
自分の武力を任意の倍率に引き上げる技。
最もロマンで、
最も現実的に『有り得ない』技。
しかして、実在した。
界王拳を現実に使う方法論を持っていた流派、それは、
『心意把』
である。
劇画『拳児』において、
心意把が特異な存在として描かれていた。
それは原作者のM氏が、
武術界の色々な噂を聴いた結果だと思われる。
例えば、陳氏太極拳。
初動作に金剛搗碓がある、
あれはM氏は、心意把を取り入れたからだと推測した。
太極拳には、孫式・呉式・楊式など様々な分派が存在するが、
それらの初動作には金剛搗碓が存在しない、
M氏は、
「陳氏太極拳から金剛搗碓を伝授されなかったのだ!、
それが秘技中の秘技を内臓していたからだ!、」
と推測した。
師匠「M氏は真理に迫ったが、
結局は辿り着けなかった。
何せ心意把でも陳氏太極拳でも今では忘れ去った方法論だったから」
金剛搗碓は、子供が外でやっている動作にすら入っている。
おそらくは昔なら考えられなかった事である。
その後、M氏は心意六合拳に行ったり、
孟村八極拳や通備八極拳に行ったりして迷走した。
師匠が何故それを見つけえたのか?、
前回に、師匠は運動の時に起きる力の方向や質を『色』として見ることができると書いた。
たまたま、師匠が夕刻に陳氏太極拳を練習して、
あたりが暗くなって来た時に、
金剛搗碓をやった瞬間、
不思議な『色』を見たのである。
今までに気付かなかった色とその形。
その色を強化するように、
師匠は工夫した。
その次の回で、
師匠は生徒に試した。
そして一つの結論に辿り着いた。
師匠「解った!、ブースターなんだ!、心意把=金剛搗碓を使うと『功夫』そのものが倍化するんだ!」
私「どう言う意味ですか?」
師匠「ドラゴンボールの界王拳と一緒だ、俺は三倍まで持って行ける!」
師匠は双撞掌の形に手を出して、
師匠「掌をくっつけてみて」
言われた通りにする。
師匠が軽く動くと私は大きく後ろにタタラを踏む。
師匠「これが今の俺の功夫の精一杯」
今度は人差し指一本✖️両手を出す。
私はそれを握って見るが、動かない。
師匠「流石にこれは俺でも無理だ」
ブレイクして、
師匠が何か小さく動く。
もう一回、師匠の出した両手の人差し指を握る。
ぶわ、と大きく後ろにタタラを踏む。
師匠「な、俺が出せない筈の功夫の技を出せた!」
見えない様に金剛搗碓をやったとの事。
師匠「昔、俺の師匠のF師範に殴られると、石でも当たった様に痛かった。
なんで?って訊いても笑って教えてくれなかった、
あれは太極拳をやり込んでたせいだったんだな。」
F師範は練習の虫だったそうである。
太極拳なんかは、
大腿部が地面と平行になる把式の高さで、
一回6分ぐらいの老架式を連続20回ぐらいやってたそうである。
ここから先は、師匠ではなく私の推論である。
(ので話のレベルが低くなるのは承知して下さい)
拳児外伝の李書文が、
震脚を徹底して練習して、
家の床石を全て割ってしまい、
短期間で功夫を劇的に上げたと言うシーンが有り、
また、肥田式強健術の正中心で床を踏み抜いた逸話など、
これに関係しているのかもしれない。




