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武術覚書  作者: asada11112
115/187

115 対岸に行ってしまった人

太極拳の練習中、

師匠から注意が飛ぶ。


師匠「挙げた手を降ろす時、きっちり筋肉を働かせろ!」

師匠が一生懸命説明しているが、

生徒の何人かは、

なかなか出来ず、

苦労している。


師匠「………何回言わす気だよ」

ため息を、

ついている。

深く、深く。


生徒の何人かは、

忘れているのかもしれない。

少なくとも、

この体の使い方を注意され、

師匠が一生懸命説明して、

懇切丁寧に指導したのは、

過去2年程から数えて、

最低でも四~五回になる事を。


そのたびに師匠は色々な説明の仕方を工夫しているのだが。


私が覚えているのはM先輩。

当時、彼は普通に出来て、

私は出来なかった。

M「起勢式で師匠が説明してたじゃないですか」


手を挙げる時は地面を掴んで天に持って行くが如く、

手を降ろす時は、天を掴んで地に持って行くが如く。


M「本当にそのつもりでやって行けば良いんですよ。」


やりましたよ~、

私、

それで時間は掛かりましたけど、

師匠から

「ちゃんと出来てる」

と言われる様になりましたね~。


馬鹿みたいに徹底して。

やりつづけて、

2年ほどかかりましたっけ。


だから、これに関しては、

出来ない人間の気持ちは分かるものの、

同情しません。

はい。


ただ、その日来ていたK先輩(ナンバー2)に、

起勢式の話をしたとき、

不思議そうに、

「え?、なんでそんな面倒な事を?、筋肉をその通りに使えば出来るじゃん?」

と言う答えが返ってきた。


あ~、

K先輩、向こう岸に行っちゃってる。

段階を登れば、必要のないイメージ。

私は今は、

空気を纏う、或いは水の中で体を動かすイメージを使っている。


使わないと、

師匠に、

「ほら~、筋肉がさぼっとるぞ~」

と言われる。


果たして私は向こう岸に行けるのだろうか?


私はこっちの岸の人間だけれども、


「時間はかかるけど、師匠の言ったことを守ろうと頑張れば、出来るようになる、

またはそうなる指導を師匠はしている」

というのは知っている。


現在の私の持っているタイムラグはおよそ半年。

ゆーておくけれども、


私が、今、師匠から

「出来ている」

と言われたことは、

少なくとも、最低半年前に指導されて、

必死で続けてきたことだったりする。


つまり、

私が、今、師匠から

「出来ている」

と言われたことは、

少なくとも、

「半年前にも同じような指導を受けたこと」

てーことである。


ただ、

私「しまったあああああ!、聞いたことあるけど忘れて練習してなかったあああああっ!」

てなことも結構ある。


やらなかったら、出来ない。

当たり前なことであるけれど、


やったら出来る、というのも、本当。

全てではないにしろ、

師匠は沢山教えてくれるから、

その中の一つでも、

やってみい。


ずっと前から、M先輩がゆーとる。

「一滴でもいいから、師匠の渡したものを持ち帰れ」

って。



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