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武術覚書  作者: asada11112
112/187

112 八極拳の練習風景


師匠「今日の練習は『挨幇衣靠』を行う」


漫画『拳児』においても紹介された、

『八極拳の戦闘理論』

なのであるが、

練習会に入門して、十年になるも、

いまだに良く解らない。


挨幇衣靠の技術。

大男の力を押さえ込んでしまえるのが特徴。

劇画『拳児』で、

蘇崑崙が田英海に掛けたのがそう。



同じく横浜の中華飯店で張仁忠が店に来たならず者に掛けたのも挨幇衣靠らしい。沈墜勁ではない。



師匠「字訣だからね~、本来は、中国人でなければ理解し難い所がある。」


との事。


師匠「とりあえず大纏でやって見せるから」

そう師匠は言って、

技を掛けて行く。


大纏は練習会でも良くやる技。

もう大分、受け身にも慣れて、

普通に師匠が手加減して掛けて行く分には、

特に大きな危険はーーー


ばたん!ごろごろごろごろ!


あれ?

………

……………

明らかに、

喰らった生徒の倒れ方がおかしい。


で、次、

私の番。


ぶん!

ごろごろごろごろ!


『ものすげー怖えええええ!!』(竹中直人調)


滞空時間長っっ!

受け身取り難くっっ!


師匠「李書文に技を喰らった人間が、大きくふっ飛んで行ったのは、これのせいなんだろうね〜」

私「今まで全然聞いた事も喰らった事も無かったんですけど?」

師匠「うん、教えて無かったからね(笑顔)」

私「…………」

生徒「…………」


師匠「まあ、難しい技だから、出来るかどうか解らないけど、とりあえず組んで練習しなさい」


私の組んだ相手は、

会のナンバー2の

K先輩。


………

………………

(↑血の気が引く音)


ちなみに、

会内部では、

彼は、

『未来からやって来た殺人ロボット』

という噂がある。


以前一度、

彼に事の真相を尋ねた事があるが、(そんなもん聴くな)


「そうだよ、のび太君。パンパカパーン『殺人パンチ~♪』」

と、ひどい(威力的な意味で)

ボケを喰らった事があった。

(確かに未来から来たロボットである)


一抹の不安を抱えながら練習開始。


がちっ!

ごく普通に『めっさ痛い』


でも、

これは良いのだ。

例え痛くても、

『人間技』だから、


師匠「あ~Kよ、そうじゃない」

………きたよ、

チューンナップしに。

師匠「ここを、こうしてな……よし、やれ!」


ぶん!ごろごろごろごろ!


ああ、

よりにもよって、

マグネット・コーティングを掛けて行ってしまった。


まあ、

結局の所、

命は無事で、


左肘を擦りむいただけで事なきを得たが、


敢えて言わせて貰えば、

我々生徒は投げ崩されて、

地ベタにぶっ倒れるのは、


ごくデフォルトで、

慣れてしまっている。

(それを誇るのもどうかと思うが)


例え剣道場の板の間だろうが、

体育館外のレンガ敷きの床だろうが、

(投げ崩す方も加減しているので)

投げ崩されて転がるのも、

別段平気で怪我もしない。


それが、

柔らかい畳敷きの柔道場での練習で、

しかも相手が練習会ナンバー2

(言い方を変えれば手加減の技量も会ではナンバー2)

その状況で肘を擦りむいたのは、


挨幇衣靠の技がよほど規格外だったと言う事になる。


というか、

私をふっ飛ばした張本人のK先輩が、

ふっ飛んだ私の姿に対して、

頭上に『?マーク』を10個ぐらい浮かべながら、

半笑いで疑いの表情をして、

首を傾げているのを見ると、


こちらとしては、

とっても文句を言い辛かったりする。


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