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武術覚書  作者: asada11112
104/187

104 浸透する打撃


漫画『拳児』では、

試合用の頑丈な防具を付けた相手を、

主人公の師匠が上から軽く押しただけで、

昏倒させてしまう場面がある。


あるいは、息の長~~いカンフー漫画、

『鉄拳チンミ』では、

通背拳と言う名前で、壁の向こうにもたれている相手を、

壁の反対側から打ち抜く。

(本来は、通背拳とは流派名であり技名ではない)


さて、そんなことが、我々『生徒』に出来るのか?

という命題というか、疑問にブチ当たる。


ちなみに、前回書いたが、

当時、師匠は不思議な崩し技をころころ掛けていたので、

その手の技も『出来ても不思議じゃない』と皆思っており、

誰も師匠にリクエストする人間はいなかった(笑)


そんな中、

師匠が、昔使っていた頑丈な防具やら、

ぶっといエアーミットやらを持ってきた事があった。


当然の事ながら、格好の玩具を与えられた生徒達がどうするかは、

想像に難くない。


生徒A「いくぞ~っ!」

生徒B「うっしゃあ!、来い!!」

ボコッ!、ボコボコッ!

生徒B「しゃっ、まだ平気じゃあ!!」

生徒C「今度俺!、俺!が打つ!」

生徒A「受けるの俺ね!」

生徒C「りゃあっ!」

バシン!、ゴッ!


景気良く遊びまくりである。


で、、まあ漫画のような浸透技は我々生徒では出来ない、

という結論に達し、


それはそれで置いといて、楽しいので、

殴り殴られとしていた。


話は替わり、

私の持病の一つに、

神経緊張性の下痢がある。


同じ症状でお悩みの方も多い病気で、

会社の出勤時刻になると下痢が襲うというあれであるが、

(登校拒否みたいなものでもある)

もともと緊張症の私はのべつまくなしにこの症状が起きてしまう。

店屋でものを買うときすら起こったりする。


練習会の終了後にも起きる事が多かった。

練習会終了後のアフターのだべりタイム、

30分、一時間、とかすると、


私 「すいません、ちょっとトイレに‥‥‥‥」

と言って車からトイレットペーパーを取り出し公園のトイレに駆け込む。

私 「失礼しました。」

師匠「用意が良いなあ、いつも車の中にトイレットペーパー入れてるの?」

私 「はい、最近はすぐ下痢になってしまって」

師匠「ふ~ん?」


何か考え込んでいる師匠。


私 「‥‥‥‥どうしたんです?」

師匠「なんか、ここ最近腹を下す生徒が多いんだわ」


師匠の話によると。

最近、アフターを辞退する者、途中で離脱する者、多数なので、

辞退した人間に後で理由を聞くと。


師匠「、なんか用事でもあるのか?」

生徒「いえ、なんだか最近おなかの具合が悪くて‥‥‥‥‥‥」

師匠「何だ、なにか悪いものでも食べたのか?」

生徒「いや~そんな覚えはないんですが」

という会話になるという。


それが、二週間、三週間と続いてさすがにおかしいと思い始めた、との事。


師匠「なんか変だな~、みんな調子を悪くするなんて」

私 「良いんじゃないですか?、基本、武術って自己責任ですし」

師匠「でもな~、練習会としてリスクがあるなら減らしておきたいし‥‥‥‥」

そんなとき、横にいたK先輩が口を開く。

K 「あの‥‥‥‥師匠」

師匠「なんだい?」

K 「中国武術の打撃って体内に浸透するって言いますよね」

師匠「うん、それがどうした?」

K 「このあいだ防具を持ってきてから、みんなバコバコ打撃いれてましたよね?」

師匠「‥‥‥‥‥‥おお!、それだわ」

師匠、ぽんと手を打って納得。


私 「マジですか?、特にダメージとかは感じなかったですけど?」

師匠「試しに、防具を撤収させてみればわかる」


その後、防具を師匠が撤収させるとともに、

全員の体の不調がぴったりと止んだ(笑)


師匠「はい、原因特定~(苦笑)」

K 「ですね~(苦笑)」


これで原因がはっきりした、

結局、打撃は浸透していたわけで、


生徒A「アホだ俺ら‥‥‥‥‥‥」

生徒B「中国武術やってる人間がその原因に気付かないってどうよ?」

生徒C「いや、防具の上から打撃入れたら下痢だなんて、何処の団体でも言ってないぞ」

生徒A「武術誌でも書かれてないな」

生徒B「何?、ひょっとしてうちらが『初』なわけ?」

生徒C「ここの会って、はっきり言って日本では一番の『後進団体』だよねえ」

生徒B「設立して数年経ってないのに‥‥‥‥」

(※今は20年以上経ってます)

生徒C「ちゃんと解ってれば、雑誌でも注意事項で話しが出るだろうし」

私  「いやね、『実践』という意味では、他のレベルが低い可能性がある」

生徒A「どういうこと?」

私  「昔、名門の形意拳3年やってるって人と会って、散手用の鞭手みせたら」

生徒A「見せたら?」

私  「その人、『多分私は貴方に勝てません』って言ってた」

生徒A「え?!」

私  「螳螂拳の教室でやってた技だから、その時は螳螂拳だと思って説明したけど、

よくよく師匠に訊いたら、鞭手って、洪懿祥系の形意拳の技だった」

生徒B「その時って、asadaは拳歴何年?」

私  「‥‥‥‥半年」

生徒A「おいー!!」


以上、一ヶ月近く下痢に悩まされた生徒による、

やり場のない怒りを抱えた無責任発言でありました。



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