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武術覚書  作者: asada11112
103/187

103 中国武術は手加減が難しい


手加減


中国武術を習おうとする日本人が、

必ず一度は師匠に頼む事


「寸勁を一度私に打って見てくれませんか?」


師匠にしてみると、これが結構困りもの。


師匠「本当にいいの?」

生徒「勿論です!!」

師匠「結構痛いよ?」

生徒「大丈夫です!」

師匠、気乗りしない様子で、

師匠「じゃあ‥‥」

生徒の右の大胸筋辺りに軽く拳を当てる。

(この場所が、一番ダメージが少なくて済む)


次の瞬間、

生徒の首が不自然の揺れ方をする。


生徒「がああああああああああ!!」

畳の上をのた打ちまわる生徒


そして、バツが悪そうに、頭を掻き掻き困った顔でその生徒を見ている師匠。


でもって、

次から来なくなるその生徒。


(以上、目撃者談。)


練習後のアフター。

K先輩に対して、師匠が打撃の説明をしている。


師匠「asada、ちょっとそこに立っててくれるか?」

私 「はい。」

師匠「だから、このときの入り方はこの歩法でこう心臓に‥‥‥‥」

こつん。

師匠「あ、すまん、ちょっと触った」

私 「いえいえ、全然、痛くないです」


---30分後-----


師匠「だから、あの型の使用法は本来‥‥‥‥」

私 「‥‥‥‥師匠」

師匠「どうした?」

私 「ついさっきから、不整脈が止まらないんですけど‥‥‥‥」

師匠「‥‥‥‥とりあえず、すぐ帰って雲南白薬のんどけ」

(以上、体験談。)



前に書いたが、

普通の打撃ですら、

相手をガン無視して、

更に薄い板一枚を割らずに、ピッタリそこで拳が止まるように打って、

ようやく(初段階が)うまくいったぐらいな力の使い方が根底にある。


相手をどうこうしようとしたりしないで、ようやく成功する中国武術の打撃。

『手加減云々自体が相手をどうこうしようとすることであり、基本的にやってはいけない』


質問:どうやって手加減すればいいでしょうか?


答え:私では解りません。(師匠・談)


ちなみに、これも前に書いたが、

『成功しても、故に相手に対して何かした感覚そのものがない、

成功した達成感すら湧かない、ただ困惑するのみ』


質問:だからどうやって手加減すればいいでしょうか?


答え:俺に訊くな。(師匠・談)


だから、師匠はおいそれと人を打てない。

しかし、生徒側にとっては、本当に危ないから打てないのか、

偽老師が『死んでしまうから打てない』と嘘を言っているのか区別できないと言う困った状況に陥る。


私の通っている会では師匠を懐疑的に見る人間は少なかった。

師匠の崩し技の技法が卓越していた為、

こんな不思議な崩し方が出来るなら、発勁とか寸勁も出来るだろう、

と予想がついていたからである。


でもって、


「今話」


現在。

師匠は、ボコボコ生徒にパンチを入れている。

今の所、生徒にも死者は出ていない。

ロシア武術『システマ』で師匠が手加減のやり方を習得したためである。

(前回の記事の『相手の威力の半減のさせかた』も、システマの技術である。

中国武術の勁を受ける事もおかげで有る程度可能になった優れものである)


打ち方の手加減、というよりかは、焦点の当て方らしいが、詳しくは不明。

師匠「いや~この打ち方、便利だな~♪」

と言いながら、楽しげに打つ師匠と、


あはははははははは!(生徒)

生徒「痛ってええええええ!、わけわからね~!、何じゃこの打撃?!?!、不思議!!」

と、ぶっ倒れながらハイになる生徒。

こちらは、中国武術とは陰陽逆な感じの効果である。

『マジで死ぬかと思うほど痛かったが、生きてた』

(中国武術はこの逆っぽい、これは次に書く予定)


システマのアレックス師範が、

「相手が耐えられるぎりぎりの限界点をきちんと見切って打つ。

生徒も、それを信じているから平気で打たれる」

と、言っている。


システマが、日本に上陸したとき、

アレックス師範は、多くの日本人が、

「ラブ・パンチを打って欲しい」

と言って来た事にとっても驚いたそうである。

普通は、あれを打つと言うと、尻込みするのが向こう(外国のシステマ教室)の普通の反応であったから。


日本人は、前記の理由で寸勁、発勁を老師がなかなか打って見せてくれない、

という理由から、気軽にすぐ打ってくれるシステマのラブ・パンチに殺到したわけである。

(同列の不思議な打法であるから)


システマのおかげで発勁・寸勁に対する懐疑者は大分減ったようである。




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