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説話80 元魔将軍は挨拶する

 朝方だからみんなはまだ寝てるね。まずは今のうちに家とか全部作っちゃおうか。


 手を地面に当てる、魔力で地中走査っと。


 ……あった、ガラスやセメントとかいう建材の原材料、地下水脈はここだね。


 勇者たちが教えてくれた鉄筋というものは、強度がさらに高いミスリルを使う。その鉱脈はは暗黒の森林の向こう側の地中深くにあったよ。水道や排水で使う管もそれを使用する。


 床材に使える硬い石も見つかったね。


 よしっ。必要なものはこれで揃えた。あとはイメージするだけ。


 別に凝ることなくここは長方体というものでいい、シンプルイズベストとか戦士のオダニが言ってたな。


 一気に行くよ――創造魔法お、建築っ!



 目の前に建てられた全ての建築物にボクは満足していた。あとはみんなが起きたらお引越しするだけだね。




「まあ、立派なお家はどこから買ってきたですの?」


「昨日の夜にちょっとね」


「あら、そうですの。

 ワタクシに言ってくださればちゃんと一緒に選んであげましたのに残念ですわ。オホホホ」


「いいよ、こんなことでイザベラを煩わすこともないからね」


 うん。このペットはこういう時に本当に助かるよね、説明しなくて済むから。



 フィーリはそんなわけがあるかっ! って顔をしてるけどさ、イザベラのあらそうですのの一言であっさりと片付けられたから、質問するタイミングを失っているみたいだね。


 アールバッツたちは短いとは言え、一緒に旅をしてきたから耐性は付いたのさ。


 最初の頃はエルネストとアグネーゼのアホみたいな顔がとても面白かったんだ。ミールだけはなんでもキャッキャと喜んでくれた。


 そのミールもびっくりした時はさあ、尻尾の毛を逆立てて可愛いのなんの。




 みんなを寮へ移す前にすることがある。


 それはここにいる子供たちと親交を深めることなんだよね。


 イザベラやアールバッツたちと違って、ボクはここに来てから暗黒の森林や王都とか色々と動き回ったんだ。ほら、ボクの視線を避けつつも興味深そうに見てくる子供が一杯いるんだ。


 そんなわけでもっとボクを知ってもらうためにみんなに挨拶する。



「やあ。みんな、こんにちは」


「……」


 うーん、ここにいるアールバッツたち以外の103人の子供たちの反応がいまいちだね。


 フィーリは困った顔をしているけど、どうしたのかな。



「さあ、皆様。この子がスルトちゃんなのですわ。礼儀正しく挨拶してさしあげなさいな」


「こんにちは。スルトお兄ちゃん!」


 およよ、イザベラの一言でみんなが一斉にボクに挨拶したよ? ペットによるペットの飼育なのかな?


 でも食事はボクが出しているだよね。まあ、どうでもいいか。



「みんなに挨拶したのは、すでにみんなはここに住んでるけど、これからはあちらにある家に移してもらおうと思うんだ」


 ボクが指した方向にある寮を見て、みんながキラキラと目を輝かせた。


 今まで雨が漏れるような小屋に住んでいたからね。



「そこでみんなに伝えたいことがあるんだ。


 大きい子なら知ってると思うけど、今いるこの世界はみんなにとって生きにくい世界だと思うね。だからボクはみんなに色々と生きる術をこれから教えていきたい。

 魔法も剣術もポーション作りも学問も、みんなが知らなかったこと、生きるのに必要なことはボクたちが教える。

 それでね、ボクはみんなに手伝ってほしいことが一つあるんだ」


「それは……なんでしょうか?」


 子供たちが固唾を飲んでボクを見ている中、フィーリが子供を代表して質問してきた。



「勇者になってほしい。

 勇者となって、この世界を救ってほしいんだ!」


 ボクは真剣な目でアールバッツを含むすべての子供たちに語りかける。



お疲れさまでした。

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