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51 初陣2

 烏丸さんの言ったとおり、西の空からヘリコプターがどんどん近づいてくる。


 どうして場所が分かるの??


 その思った私だったが、その疑問は烏丸さんが持つスマホから推測することができた。隊員たちの位置情報は常に管理されていて、プライベートはどこにいようとピックアップできるようになっているのだ。


 烏丸さんは私の手を引っ張って視界が開けた境内に移動していく。ヘリコプターに向けてスマホのフラッシュライトを点灯させて片手を上げた。


 私たちのほぼ真上でヘリコプターは静止し、強烈なダウンウォッシュによって小枝が吹き飛ばしていく。

 ヘリ機体側面のハッチが開き、上空から誘導ロープが投下された。

 烏丸さんが落ちてきたロープを拾い上げると今度はホイストケーブルの降下がはじまる。ホイストケーブルのフックには二人分のハーネスとパイロットヘルメットがぶら下がっているようだ。


 フックが地面に接地すると烏丸さんは、ヘルメットを拾い上げて私の頭に被せてくれた。次いで彼もヘルメットを被る。ヘルメットに内蔵されたインカムから聞こえてきたのはイケメンなバリトンボイスだった。


『烏丸、久しぶりだな。緊援隊(緊急消防援助隊)で会って以来だから二年ぶりか?』

「お前、新堂か? 久しぶりっつーか、んなことより装備だけ降下させるってどういうことだよ?」

『甘ったれたこと言ってんじゃねえ、お前は天下の東京レスキューだろうが。それに二人だけの愛のランデブーを堪能させてやろうっていう俺様の粋な計らいがお前には分からんのか』

「なにが愛のランデブーだ、オヤジくせー」


 どうやら二人は顔見知りのようだ。しかしそんなことはどうでもいい。今はなぜ彼が私にヘルメットを被せたかだ。


「あ、あの……、まさかこのケーブルでヘリコプターに乗り込むんですか!? 私はヘリコプターで吊り上げられる訓練なんて受けていません!!」


 私は大声で訴えた。普通の声量ではプロペラの音に掻き消されてしまうため、自然と声も大きくなってしまう。


「大丈夫だ、一緒に上がるから要救助者なったつもりで俺に身を任せればいい」


 うそーん……。


 

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