表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/66

45 休日とデートとトレーニング5

「手伝うって?」

「……トレーニングです」


「……」


 そう伝えて私は返事を待った。彼の沈黙する時間がとても長く感じる。


「あ、ああ、別にいいぜ。良かった……、あんたに嫌われているのかと思っていた」

 

 安堵するように烏丸さんがはにかんだ。普段のクールな彼とのギャップに胸がキュンと鳴く。

 彼の笑顔を見たのはこれが初めてではない。だけど、仕事のときよりもプライベートの方が一段と感情豊かで愛らしくて、ひとつ年上だけど年齢よりも幼く見える。


「じゃあ、やるか。ベンチプレス『から』でいいのか?」

「は、はい!!」


 はわわわわッ!? ソウヤとトレーニング!? 夢みたい! 夢じゃない!? ソウヤのプライベートレッスン!! これってサイコーじゃない!!?

 

 一時間後――。


「よし、これでラストだ」

「ふぅ、トレーニングで汗を流すって気持ちいいですね」

「千鳥は努力家なんだな、見直したよ。頑張る女の子って、カッコイイよな。俺、好きだぜ……」


 そう告げた彼はタオルで私の首筋の汗を拭った。


 ↑ここまでが理想。

 ↓ここからは現実。


「ぜーはー、ぜーはー……」

「ラスト一回、気合い入れろ!」

「ふんぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!!」

「おっし、よく頑張った! お疲れさん!」

「ぶはっ! げふっ! えふっ! ば、はぁはぁはぁ……」


 う、腕がぁぁ……死ぬぅぅ……。筋肉が引きちぎれそう……も、もう上がらない……。

 ……明日が休みで良かった。それにしても烏丸さん……、容赦がないのですよ。運動音痴の女子相手に一切の妥協がない……。でも、そんな全力のソウヤも好き……。


 とろんと雌を顔になっていたであろう私に彼は「明日って空いてる?」と尋ねてきた。


「……明日ですか?」


 え? なに? これってまさかデートのお誘い?

 計画ではせっかくの休日だから家に引きこもってゲームしようと思っていた。けど赤城夫妻の手前、いきなり引きこもりモードを披露する訳には行かない。

 だったら予定があって外に出ていた方が気持ちは楽だ。なによりソウヤからのお誘いを断るなんてノー!!

 ここまで僅かコンマ五秒。


「一切の予定はありませんわ!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ