27 祝・イケメンに囲まれました。8
なんだか不思議だな。烏丸さんと一緒にいるとドキドキするけど、すごく安心する。顔面偏差値が高いだけじゃなくて声がすごくタイプなのよね、不思議と落ち着く。
胸が躍るというか高鳴るというか……。
すっと目を閉じた私は装備や資器材の説明を続ける彼の声に耳をすませる。
ああ、やっぱり落ち着くなぁ。烏丸さんの声……――ん? あれ……。いや、まさか……。そんな訳は……。いやいや、ちょっ、待って……、え? 嘘? マジで??
今まで彼のヴィジュアルにドキドキしていたから見落としていた。もとい、聞き逃してしたけれど……。
目を閉じて聞けば鮮明に解る、判る、分かる!?
うそ……、だって、そんなバカな……。
自身の論理的思考が否定しても私の聴覚が肯定している。彼の声をこの私が聞き間違えるはずがないのだ。
――間違いない、スーパーデューパーのソウヤだ!!
「おい、聞いてるのか?」
ばちんと目を開いた私の正面に烏丸さんの顔があった。じっと私の顔を見つめている。
「~~ッ!!」
顔が近い!? 私の目の前にソウヤがいる! しかもイケメン!? なにが不細工だからメンバーから外されただって? ザマーミロ、ザマーミロ、ザマーミロ!!
「どうした? 顔が赤いぞ? 調子が悪いのか?」
彼は心配そうに眉目を寄せた。
燃え上がるように耳の先まで顔面が熱くなっていることを自覚した私は思わず立ち上がる。
「お、おい……」
「すみません! ト、トレイに行ってきます!」
そう言い残して踵を返した私は走り出していた。
そのまま女子トイレに駆け込む。洗面台に両手を付いて鏡に映った自分に向かって語りかける。
「ど、どうしよう……、ソウヤがいるんですけど……」
無論、返事はない。だって鏡の中の私も鼻息を荒くして興奮しているのだ。
やばい……、なんかもう興奮し過ぎてゲロ吐きそう。




