26 祝・イケメンに囲まれました。7
キャリアと呼ばれてズキンと胸が痛んだ。やっぱり騙しているみたいで気持ちが良いものじゃない。
「いえいえ、私なんてただの素人ですから……」
後ろめたさから私はさっと目を逸らす。
「じゃあ俺と一緒だな」
「一緒?」
「俺も素人だから」
「素人、ですか?」
その言葉の意味が分からず、私は再び彼を見て首を傾げた。
だってその道のプロのはずだ。
「ここにいる連中は〝いわゆる特殊部隊〟に所属していたヤツらばかりだ。テロリストとドンパチやり合うなら自衛隊の特戦群も警察のSATも海保のSSTも即戦力だけど、消防はあきらかに浮いている。はっきり言って蚊帳の外だ。本来ならオレたち消防士がテロの現場でキープアウトの内側に入ることはできない。それは赤城のヤツにも指摘された」
「でも消防士って救助に関してはエキスパート、ですよね?」
うろ覚えの知識を総動員して私がそうフォローすると、烏丸さんは薄く笑った。
「オレは消防を妄信したりしないし、消防士だってことに自惚れてもいない。だからと言って卑下もしていない。プライドも持っている。だけど敢えて言えば、消防ができることは自衛隊も警察も海保もできるんだ。これは事実だ。SCARに消防枠を設けた利点は〝アピールできる〟からだ。『我々は戦闘集団ではありません。あくまで検知と偵察を主目的とした救助部隊です』ってな。赤城は元SAT隊員だが、SCARに来る前は特殊救難隊の所属だった。チーム構成として護衛役の戦闘員が二人で救助員が二人、医者が一人で筋が通る。反対派に言い訳も立つ」
正直言うと、烏丸さんの話してくれたことの半分も理解できなかったけど、彼は他のメンバーとの差を肌で感じながら離されまいと必死で喰らいついて行こうと努力しているのだ。
「いいさ、上等だよ。俺がこの部隊の一番になってやる」
そう言って不敵に笑ってみせた烏丸さんの横顔が、とても眩しく見えた。




