25 祝・イケメンに囲まれました。6
「あ、あの……」
「あ……、悪い。変な意味じゃないんだ」
私を解放した烏丸さんは、私の体を支えながら起き上がらせてくれた。
「は、はあ……」
変な意味じゃないと言われましても……。しかしイケメン無罪である。これが上田だったら即刻セクハラで訴えている。
「そ、そんなことよりなんでヤモリがいるんですか」
はぐらかすように私は言った。
「どっかから入り込んだみたいだ。精密機械が多いから捕まえようと思ったんだが、逃げられちまって」
「そうだんたんですね……」
「ん、仕方ない。ネズミ用の罠でも仕掛けておくか」
そう言って烏丸さんは腰に手を当てる。
「そういや、司令官に基本的な装備の説明をしておこうと思ってたんだけど、今から時間あるか?」
こくりと私はうなずいた。ぶっちゃけ時間なんていくらでもある。
「じゃあまずは一番よく使うこのふたつ、防毒マスクと空気呼吸器からだ」
装備が収まる棚から彼が取り出したのは映画やアニメで目にしたことがあるガスマスクと、もう一方はボンベとマスクがチューブで連結した機材である。
「こっちの防毒マスクは見たまんま、ここに付いた吸収缶が剤を吸う」
彼はマスクの口元に付いたカートリッジを指さした。
「メリットはなんたって動きやすいこと、デメリットは剤の種類に適した吸収缶を付けないといけないこと。つまり剤の種類が特定されていることが前提だ」
「ふむふむ」
私はマッピングに使っていた紙に教えてもらったことをメモしていく。
場合によっては剤が特定されなくても〝見込み〟で突っ込む場面もあるけどな、と彼は恐ろしいことを付け足した。
「で、こっちは空気呼吸器。文字通りこのボンベの中には空気が圧縮されて充填されている。一番のメリットは剤の種類に関係なく使用できること、デメリットは見た目通りかさばるし重い」
「ふむふむ」
「それからメリットとして防毒マスクでは絶対に行けない場所にも入っていける」
「絶対に行けない場所?」
「ヒントはそうだな……たとえば地下だ。こいつがないとヒトは生きていけない」
「あっ! 酸素ですね!」
「お、その通り。酸素が欠乏した空間では防毒マスクは使えない。そのまま酸欠で死んじまうからな。さすがキャリアってところか」




