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23 祝・イケメンに囲まれました。4

 現在、私は紙とペンを持って基地を歩いている。

 これはマッピングだ。基地に案内図はなく、コンクリートの壁と扉ばかりで目印になる物が少ない。だから自分で記録していくしかない。

 

 私が行ったことのある部屋は司令官室と会議室、現在の執務室、そしてさらに地下にある市街地想定訓練場だ。

 トイレは会議室と司令官室の間にあった。もちろん男女別だ。

 

 実際に基地を歩いてみると意外と広かった。仮眠を取る寝室にシャワー室、食堂、トレーニングルーム、他にも色々な部屋があって迷子になってしまいそうだ。


 そのまま進んで行くと通路の角にある部屋の扉が開いていることに私は気付く。

 中を覗くとそこは倉庫だった。左右の壁には天井まで届く棚が配置され、所狭しと機材らしき品々が整然と置かれている。

 そして、腰を屈めて棚と棚の間に手を差し込もうとする人物がいた。


 お姫様抱っこの彼、元消防官の烏丸従吾だ。


 さて千鳥、ここで選択肢よ。


【1、話しかける】

【2、通り過ぎる】

【3、大声を出して驚かす】


 ちょっと怖くて近寄りがたいけど、ここは当然1番よね。3番はすごく怒られそうな気がする。


「えっと……烏丸さん、なにをしているんですか?」


 棚の間に突っ込んでいた腕を引いて、彼が振り返った。


「ああ、司令官か」


 うーん……。反応が実にクール&ドライ。


「この奥に入っちゃったんだけど取れなくてさ。あ、そうだ。司令官の腕なら細いから取れるかも。ちょっと手伝ってくれないか?」


 あくまで彼の腕と比べてだけど、細いと言われて悪い気はしない。


「いいですよ」


 烏丸さんの隣に移動した私は腰を屈めて彼が手を入れていた棚の間に手を差し入れる。


「それでこの奥に何があるんですか?」


「え? ヤモリだけど」


「ヤ、ヤモリ!?」


 瞬間、ぬるっと指先に触れた気がした。


「いやぁッ!」


 慌てても手を引っ込めた私は勢い余って転倒しそうになり、


「おっと」


 彼が私を抱き支える格好になっていた。




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