沖田総司
掲載日:2020/06/13
人を殺した。
何人も何人も。
生臭い。
血腥い。
幕府のために振るうこの手には血がこびりついている。
血刀は拭えても、手についた穢れは払えない。
重い。
腕にのしかかる死に絶えた敵の骸。
これが先ほどまで軽やかに動いていたものだろうか。
こんなにもこんなにも重い。
軽く振るう切っ先に触れた途端重くなる。
それは骸の重さか、魂の量か。
重い、重い、のしかかる命の量。
鴻毛より軽いか。
泰山より重いか。
これが敵の命。
軽いと思っていた敵の肉。
紅に染まる路傍は彼の血の色か。
それとも己が吐いたる血の色か。
斬った。
たくさん斬った。
殺した。
数えきれないほど殺した。
だが今は欲しい。
命が欲しい。
明日が欲しい。
愛しき彼女を抱けぬ体。
感染してしまう病に犯されたこの体。
だが生きたい。
生きて彼女と一緒になりたい。
嗚呼、嗚呼、血、血、命。
命が地に吸われて行く。
願わくばもう少し。
もう少しだけ──。




