09.友の恋
やばい・・・・。
これは、五角関係!?
あれから1ヶ月が過ぎ去っていった。
萌からは相変わらず避けられてたけど。
悪口だって言われたけど。
私はもう。
平気なんだ。
璃嘉がいるから・・・・。
でも・・・。
海が。
海はまだ、萌の事を信じてるみたいで。
記憶を取り戻してもらいたいけど。
私はアイツを信じたい。
「真希っおはよ~」
「あっ璃嘉!おはよ」
「もぅすっかり元気じゃぁーん」
「璃嘉のお陰だよー。」
「「「「何かさ、最近真希明るくね?」」」」
皆から言われた。
学校って。
こんなに楽しいものだったんだ・・・・。
自分の意見言える、安らげる場所だったんだ・・・・。
「今日さ。真希に紹介したい人いるんだよね~」
「え。誰誰?もしかして、彼氏?」
「違う違う。片思いの人・・・・。」
「まじっ?逢いたい」
「逢わせるよ~その代わり~海君と何あったか、教えて?」
海。
何だか、懐かしい響き。
アイツとは1ヶ月以上口聞いてない。
別に話たくない訳じゃない。
ただ。
アイツの周りにはいつも萌がいて。
萌と目合うと、吐き気が襲ってくるの。
あの時の思いが甦ってきて。
「うん・・・・。いーよ」
「約束ね?」
「約束。」
「んーじゃぁ来て?」
璃嘉に連れられ。
3-2
教室前の廊下へと佇む。
「此処?」
「うん。此処なんだぁ」
「名前、何てゆぅの?」
「幸田愁君」
「え」
「ん?どぅかした?」
「ごめん。私、教室戻る」
「え。真希?どしたの?私たち、親友でしょ?話して?」
よりによって、何で。
何で愁君なの?
これ以上、恋愛で苦しむのはやなのに。
璃嘉が、萌みたいになっちゃうんじゃないかって。
怖いんだ。
「ねぇ真希?お願い。教えて?」
「元、カレなの・・・・。」
「え。元カレ?」
「・・・・ごめん。」
せっかく出来た、親友なのに。
私、やっぱ最低だ。
璃嘉、傷ついてるよね。
璃嘉に合わせる顔がなくって。
屋上へと走る。
璃嘉・・・・。
ごめん。
ーーーカチャーーー
「あ、れ。海。」
「よっ!」
「何で此処いんの。」
「お前に逢いたくて。」
「え」
「真希さ?俺の事、シカトしてたろ?」
「してねぇし」
「じゃぁ何で避けんだよ」
「・・・・ごめん。」
「・・・・・・・。」
「萌、は?」
「知らねぇよ。」
「は」
「アイツ、嘘ついてる。勘で分かんだよ。アイツといると、何か疲れる。」
「え」
「なぁ真希?俺本当にアイツと付き合ってたのかよ。」
「私に聞くなよ。何て答えたらいぃか、分かんねぇんだよ。」
「・・・・そっか。分かった。俺、自分で探すよ。俺の過去。」
「私に何か、出来ないかな。」
「は?お前聞くなって言ったじゃん」
「でも。私・・・・。」
「んじゃぁ、俺の前の家、連れてけ」
「フン。連れてってください、でしょ?」
「ハァ?お前が手助けするっつったんだろ?」
「フンガ!」
「馬ぁ鹿!」
「海こそ!」
「だな。やっぱ俺、お前といる時が一番楽だわ。」
「それ、どういう意味?まぁ、私もだけど」
「んじゃ、行くぞ!」
「は?どこに」
「だから俺ん家!案内しろ」
「はいはい」
私、本当最低だ。
璃嘉傷つけておきながら、好きな人と笑い合うなんて。
腐ってる。
ざけんじゃねぇよ。
自分に怒鳴る。
でも、アイツが私の手引っ張るから。
逃げられない。
璃嘉のとこ、行かなきゃなんねぇのに。
「ごめん海。明日でも、いい?」
「え。どした。」
「友達の事が、気になって。」
「そっか。分かった。行ってこい!」
「うん!」
走って。 走って。 走って。
璃嘉の所へ戻る。
「璃嘉ぁ!」
「真希っ!どこ行ってたの!?」
「ごめんね。ごめんね。愁君の事・・・・」
「いいんだよ。そんな事。だって真希は、友達じゃないもん。」
「え」
“友達じゃないもん”?
そっか。
そぅだよね?
私なんかと友達なわけないじゃん?
こんなに可愛くて、優しい璃嘉が。
「親友だもんっ!」
「え」
「親友、でしょ?私たち。だから私は、真希を信じてる!」
「璃嘉・・・・。」
「だからって、愁君諦めた訳ぢゃないよ?」
「応援してる。璃嘉の事、応援してる!」
「っありがと。やっぱり真希大好き!」
「馬鹿!私の方がもっと璃嘉好きなんだかんね」
初めて出来た親友が、璃嘉・・・・。
貴女で良かった。
恋に溺れて。
恋に泣いて。
恋に優越感覚えて。
腐って。
狂って。
散々傷つけて、傷つけられて。
自殺未遂して。
そんな最悪な私を救ってくれたのは。
璃嘉。
貴女なんだ。
本当に感謝してる。
数え切れないくらいの、ありがとうを。
“ありがとう”
次回:アイツの記憶が戻るように。
私と海の時計が重なってく。




