08.新友情
今回は、ちょい暗いです。
でわ、どぞ。
教室に戻ったら、海はいなくて、萌がいた。
「ちょっと萌!どういう事!」
「まぁまぁ。そんな怒んないで」
「だってアイツには記憶が」
「いーじゃん?どうせ彼女が誰か分かってないんだし?
あたしって事で~」
「ざけんなよ!」
「え?何で真希が怒ってんの?」
「んな事どーでもいんだよ。アイツの記憶を勝手に変えんな」
「まさか、真希・・・・」
「そうよ!私がその彼女よ!」
「最低!アンタ、ほんと最低ね!愁君いるのに、この溝鼠!」
「・・・・・・・・。」
「アンタ。欲張りすぎなんだよ!ほんっと性格悪いね。性格直せば?」
「分かってるよ。」
「は」
「私の性格悪いって事、分かってんだよ」
「・・・・・・・・。」
「でも私は。海が好きなんだ!」
「愁君は?」
「・・・・別れた。」
「もう、いいわ。アンタなんて、友達じゃない。見損なった」
もう、やだよ。
いっつもこうじゃん。
見損なったって。
私だってとっくの昔に自分を見損なってる。
いつもなんだよ。
友達だと思ってた奴に、いっつも捨てらんの。
もう、やだ。
辛いよ。
私が最低だって。
分かってる。
溝鼠だって、言われたって可笑しくないくらいの事してきた。
泣きたい時だって、涙我慢して。
笑いたくない時だって、笑った。
じゃないと友達いなくなりそうで。
怖かった。
でも本当は。
偽りの自分作って、自己満してただけなんだ。
人の考え合わせて。
人の顔色伺って。
じゃないと一人になりそうだった。
でも、いつも。
本当は一人だった。
表ではいつも笑顔で、調子良くしてたけど。
もう、無理だわ。
本当の私って、何だっけ。
私、終わってんね?
自分が分かんないって。
本当、馬鹿だな。
こんな事になるなら。
最初っから本当の自分として、皆とつるめば良かった。
もう明日から、一匹狼。
ハハッ
今までも、か。
もう、萌を責める資格も、私にはねぇし。
てかそれで、海が幸せになれるんなら。
私の気持ちなんていらねぇよ。
私、生きてる意味、あんのかな。
私の人生ってどぅせ。
しょうもなくね?
たとえ友達いたとしても、どぅせ同じ結果になんじゃん?
傷つけて、傷つけられて。
ほんと、しょうもねぇよ。
生きる価値、まるで無いじゃん。
ならいっそ。
たまたま持ってたカッターを手首に当てる。
“さようなら。この世界”
目を瞑る。
「真希ちゃんッ!何してんの!」
「え」
突然の登場に目を見開く。
「馬鹿!こんな事したって、アンタは何も。救われないんだよ?」
「えっ。誰」
「私?アンタと同クラじゃん。」
「ごめん・・・・。分かんない」
「璃嘉。香澄川璃嘉。」
「かすみがわ、りか?」
「うん。よろしくね」
璃嘉は私に手を差し出す。
「え」
「実わね?私、ずっと前から、真希ちゃんに声掛けようと思ってたんだ。
話してみたかった」
「何、で。私なんかと。」
「そういう所が、好き。」
「え」
「自分の悪い所をしっかり分かってて、強い、貴方と友達になりたい。」
「友、達?」
「そう。友達。」
「私、もう死にたい。友達出来たって、辛いもん。」
「ふざけないで。死にたいだなんて、軽々しく口にしないで!
私が、貴方を支える。ありのままの貴方を」
彼女は私を抱きしめる。
涙が頬をつたって、彼女の肩に零れ堕ちた。
「泣きな?私はずっと此処にいるから。」
「・・・・ありがとう。璃嘉。」
初めて言われた優しい言葉に。
私の涙は止まらない。
手の力が抜けて、カッターが地面へと堕ちる。
「それでいいの。ちょっとでもいいから、私に相談してみ?楽になるから」
「ありがとう。ありがとう。璃、嘉。」
次回:萌と海が一緒に居るたびに。
私のこの胸は締め付けられる。




