06.別れ道
うぅ~愁君いい奴!!!涙
でわ、どぞ。
本当は言いたかった。
“私が、その彼女だよ”
って。
でも、そんな事したら。
アイツの記憶はこのまま、永遠と戻らないままになってしまいそうで。
言えなかった。
「真希?こんな所に居た。」
「え」
声だけで分かるよ。
君の声は、私にとって、安らぎだから。
「愁君。」
「探したんだぞ?」
「え。なんで愁君が?」
「彼氏だから。」
「・・・・。」
「もしかして、いちゃマズかった?」
「ううん。そんな事ない。」
彼が私に手を差し出すから。
私はその手につかまる。
・・・・いつものように。
でも。
今は。
いつものように。
素直に握れない。
アイツに心が、揺らいでんの。
「真希ッ」
「え。」
「俺さ?君の事ならなんでも分かるんだよ。」
「・・・・・?」
「好きだから。君の事、本気なんだ。」
「・・・・・。」
「ずっとずっと。好きだった。」
「え。何で、そんな事。」
「好きなんだろ?成宮の事。元カレなんだろ?」
「何で、知ってるの?」
「俺さ?君の事、2年以上前から。ずっとずっと。好きだったんだよ。」
「え」
「真っ直ぐに、素直に生きる君に惹かれた。」
「・・・・・。」
「そんな君と、いつも一緒に居る、成宮の事、何度も羨ましいと思ったよ。」
「・・・・・。」
「そんな時、成宮が引越しする事になった。」
「・・・・うん。」
「俺、その時決めたんだ。真希に告白するって。」
「・・・・・。」
「それで今。アイツが戻って来た。真希は。アイツの事、まだ好きなんだろ?」
「好き。だけど。私は、愁君も好き。」
「違う。」
「違わない。」
「俺、言ったろ?真希の事なら何でも分かるって。
君は。俺と居る時、楽しいか?」
「楽しい」
「でも、疲れるんじゃない?」
「え」
「素のままで、いられないから。」
「・・・・・。」
「アイツの前だったら、素直になれる。違う?」
「・・・・当たってる。」
「だろ?・・・なら。俺たちは別れた方が良い。」
「でも私っ愁君の事っ」
「俺は!」
「・・・・・。」
「真っ直ぐで、偽りの無い、君が好きなんだよ!・・・・成宮といる、君が好きなんだ」
愁君の言葉に、返す言葉が見つからない。
図星だから。
愁君の言ってる事、全部全部、当たってるから。
何も、言えない。
でも私は。
愁君に伝えなきゃいけない事がある。
彼が。
こんなにも勇気を出して、私に想いをぶつけてくれてんのに。
私は、何も言えないまま、終わるの?
そんなの、悔しすぎんじゃん。
「愁君・・・・。今まで、ありがとう。
こんなに。私の事を支えてくれて。私は、幸せ者です。」
「・・・・その言葉聞けただけで、勇気出せて良かった、そう思えたよ。」
「そっか」
「ありがとな。真希。」
* * *
私の気持ち。
ようやく気づけた。
それは全部。
愁君が気づかせてくれた事。
私は。
アイツが・・・・。
海の事が、今でも好きなんだ。
次回:アイツの事が気になって。
引き返して行ったら。
そこには・・・・・・・・




